円滑な意見集約を行うためのカード展開型ワークショップ手法

タイトル 円滑な意見集約を行うためのカード展開型ワークショップ手法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2006~2007
研究担当者 安中誠司
山本徳司
唐崎卓也
発行年度 2006
要約  これまで地域づくりワークショップの進行(ファシリテーション)は個人的技量に頼っていたが、カードによる段階的意見集約でアイディアを具体化するカード展開型の流れを進行シートとして事前準備することで、技量不足でも円滑な意見集約が可能となる。
キーワード 地域づくり、ワークショップ、ファシリテーション、カード展開型
背景・ねらい  地域づくりワークショップ(以下WS)での意見集約には多くの時間を要し、その進行には専門的な技量が求められる。しかし、多くのWSは時間的な制約がある中で行われている。そのため、結論を予め想定して目的を特化した企画がなされ、多様な視点からの議論が困難になることがある。また逆に、目的に沿った論点の絞り込みが行われないなど、意見が拡散し実効性のある意見集約に至らない場合も少なくない。そこで、ファシリテータ経験が少ない場合でも意見集約を円滑に行えるワークショップ手法を考案する。
成果の内容・特徴
  1. カード展開型WSでは、以下の手順で意見集約を行う(図1)。①予め地元との話し合いで設定した具体的なテーマに沿って参加者へ問いかけを行い、自由に意見をカードに記述してもらう。②ファシリテータが主導してアイディアをブレーンストーミング法で分類する。③少数意見の中からもユニークなアイディアを抽出し、④新たな問いかけを段階的に行うことで、アイディアを具体化していく。
  2. ファシリテータ側は、企画・準備段階で、事前に地元との話し合いを重ねながら、具体的な点検テーマを設定し、WS当日の段階的な意見集約の流れを進行シートとして予め準備しておく。参加者同士の話し合いに基づいて意見が集約される従来型とは異なり、意見集約に係るファシリテーションが進行シートとして外部化され、ファシリテータが参加者へ能動的に関与する形となる(表1)。これにより、班毎にテーマや担当ファシリテータが異なる場合でも意見集約の流れは同一となる(図2)。そして、進行シートに基づいた問いかけを段階的に行うことで、約1.5時間でテーマに沿ったアイディアを具体化し、構想マップを作成することができる。
  3. 展開型のファシリテーションでは、進行シートの作成に時間を要し、参加者の裁量度やファシリテーションの柔軟性等も相対的に弱くなるが、ファシリテータの技量不足によるリスクの軽減が図られるとともに、段階的に意見が共有化されることで少数意見の扱いが明確化でき、意見の集約(アイディアの具体化)がどのように行われたかを視覚的に提示できる(図3、表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 意見集約にファシリテータが能動的に関与することで円滑な意見集約が可能となるが結論ありきの誘導とならないよう、地元との話し合いに基づきテーマの設定や進行シートの作成を行うなど、企画準備段階での住民との協働が必要不可欠となる。
  2. 手法の適用が期待される場面として、1)事業との係わりで時間的な制約が存在し、2)地域の課題が具体化されているが、3)経験豊富なファシリテータが確保できない、という状況での活用が想定される。
図表1 228137-1.gif
図表2 228137-2.gif
図表3 228137-3.jpg
図表4 228137-4.gif
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