劣化進行パターンに応じた農業用水路の最適補修計画

タイトル 劣化進行パターンに応じた農業用水路の最適補修計画
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2005~2006
研究担当者 蘭 嘉宜
國光洋二
発行年度 2006
要約  農業用水路の劣化進行パターンは施設構造・環境により違いがあり、事後保全的補修と予防保全的補修のライフサイクルコストの経済的有利性に影響する。
キーワード 農業用水路、劣化、予防保全、ライフサイクルコスト
背景・ねらい  既存の土地改良施設を最大限活用すべく、施設の長期にわたる劣化状況を予測し、ライフサイクルコストを最小化させるような施設管理計画の策定が必要とされている。しかし、ライフサイクルコストを考慮した予防保全対策の必要性が言われているものの、実在する土地改良施設について予防保全対策の有効性が示された事例は少ない。そこで、ある国営農業水利事業で整備された農業用水路の施設状況調査をもとに、劣化予測モデルを作成するとともに、ライフサイクルコストを試算して適切な補修工事計画の検討を行った。
成果の内容・特徴
  1. 事業完了後25年経過した国営事業地区で実施された農業用水路(開水路、暗渠等)の施設状況調査データを分析・整理し、マルコフ連鎖モデルを使って劣化進行予測モデルを作成した。モデルにより施設完成後50年間の劣化を予測したところ、施設構造、環境によって劣化進行パターンが異なる結果が得られた(表1、図1・2)。例えば、G幹線開水路の変状については、Bレベルへの劣化進行は早いが、Aレベルへの進行は遅い。G幹線暗渠の変状については、逆に、Bレベルへの劣化進行は遅いが、Aレベルへの進行が早い。
  2. 補修基準を変えてライフサイクルコストを比較したところ、劣化進行パターンによって経済的有利性に違いが見られた(図3・4)。G幹線開水路とG幹線暗渠について、①Aレベルの劣化バレルを補修する(事後保全的補修)場合と、②Aレベルを補修する際に、Bレベルも併せて補修する(予防保全的補修)場合のライフサイクルコスト(当初事業費と補修費の現価累計値)を試算した。その結果、G幹線開水路では事後保全的補修が経済的に優れ、G幹線暗渠では長期的には予防保全的補修が優れる試算結果が得られた。このように、劣化進行パターンを考慮した補修計画の必要性が、実際の施設の試算結果で確認できた。
成果の活用面・留意点 劣化予測モデルは一時点の調査データをもとに作成しており、時系列データが得られれば、妥当性を検証する必要がある。
図表1 228141-1.gif
図表2 228141-2.gif
図表3 228141-3.gif
図表4 228141-4.gif
図表5 228141-5.gif
カテゴリ コスト

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