タイトル |
用水路系の水理および水利用における性能指標 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所 |
研究期間 |
2005~2006 |
研究担当者 |
樽屋啓之
中 達雄
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発行年度 |
2006 |
要約 |
用水路系の水利性能設計における各機能・性能に関する規定化の一環としての性能の階層構造化と性能指標(案)の抽出は,水理実験と数値解析等による水理・水利用性能の設計の合理化と性能規定化技術基準類の作成に資する。
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キーワード |
性能設計,機能・性能の階層構造化,性能指標
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背景・ねらい |
世界貿易機関(WTO)による技術仕様の性能規定化や更新事業に対応する設計問題を背景に,その機能・性能に着目した性能(照査型)設計手法の導入が必要である。従来の仕様設計では,設計の手順が示され,設計対象の性能は直接には扱われず,性能も定性的にしか示されなかった。このため,用水路系を対象にその水利システム設計における各機能・性能の階層構造化を行い,各性能指標を提案する。
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成果の内容・特徴 |
- 性能の階層構造化の意義は,「①機能・性能の理解を容易にする。②性能の透明性を明確にする。③実際の具体的な実態設計に結びつける。」である。用水路システムの機能を5つの分野に基本区分し,基本的要求性能の連関を考慮した各機能群の構造化試案を作成した(図1)。
- 用水路システムを「各施設構成要素が適正に組み合わさって,農業用水を水源から目的地のほ場に送水,配水するための水の利用システム」と定義し,その基本的な3大機能を以下の通り仮定義した(機能規定化)。
(1)水理機能(Hydraulic-F);用水を安全に輸送,配分,貯留する機能。 (2)水利用機能(Water utility-F);水源からほ場または,分水口まで,適時,適量の用水を無効放流することなく,各分水口へ公平かつ均等に送配水する機能。 (3)構造機能(Structural-F);(1),(2)の性能を実体化するための水利構造物の形態を保持する機能。 - 用水路システムの水利計画設計データベースを活用し,民間コンサルタント技術者16名の意見を参考に基本的要求性能の規定化案として用語上の定義およびその指標試案を作成した(表1)。各要求性能については,(1)性能の限界状態が存在せず仕様化された管理・制御方式により,その性能を照査するもの(方式,等級表示,適合見なし規定),(2)その性能を別途,試験と実験等で照査しなければ決定できないもの(数値表示),に大別した。具体的指標は,表1で性能の表示例として示す。
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成果の活用面・留意点 |
- 行政部局における水利用面の性能設計や関連する基準・手引き書作成時における活用が期待できる。
- 指標化には,さらに,多数の技術者等の合議を図る必要がある。
- 用水路系を構成する各構造体(開水路,パイプライン,分水工等)については,別途構造性能も加味して基本的要求性能を規定化する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
機能性
データベース
輸送
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