CFD(数値流体力学)による高温期利用に向けた超低コストハウスの換気設計

タイトル CFD(数値流体力学)による高温期利用に向けた超低コストハウスの換気設計
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2006~2008
研究担当者 森山英樹
石井雅久
発行年度 2007
要約  CFD解析では、無植栽の超低コストハウスにおいて、天窓のみで換気をした場合、微風時は室内気温が外気よりも約10℃高くなると予測される。また、天窓と側窓を開口すると室内気温は外気に近づくため、高温期の利用には天窓と側窓を開口する必要がある。
キーワード CFD、自然換気、気温分布、気流分布、換気窓
背景・ねらい  施設園芸の大規模化、国際競争力の強化、労働環境の改善などを進める上で、温室の周年利用と建設コスト低減は重要な課題である。特に、温室の周年利用を図るためには、高温期の室内気温の低減が不可欠であり、換気窓の改良への期待が高まっている。本研究では、先端技術を活用した農林水産研究高度化事業(2004~2006年度)で開発した超低コストハウスの気流・気温分布を、数値流体力学(Computational Fluid Dynamics:以下、CFD)の手法を用いて予測・評価し、高温期利用のための換気窓の開閉方法を提案する。
成果の内容・特徴
  1. CFD解析に用いた超低コストハウスの形状は丸屋根型で、軒高は3.6m、床面積は972m2ある。換気窓の開口パターンは、天窓のみを開口したケースと、天窓と側窓を開口したケースを比較している。なお、天窓は2棟毎に対向する片天窓を装備している(図1)。また、屋外風速が室内の気流・気温分布に及ぼす影響を比較するため、風向は西風で、地上10mの基準高さの風速が1.5、3.5m・s-1の条件を与えている(表1)。
  2. 高温期の気象条件として、拡張アメダス気象データ(標準年)から8月12時の観測値(観測地点:南知多、日射量:658W・m-2、気温:29℃)を定常値として与えている。
  3. 屋外風速の大小に関わらず、天窓のみを開口したケース1とケース3の室内の気流速は小さく、気流分布も均一でない。天窓の開口に側窓の開口を加えたケース2、ケース4は室内の気流速が大きく、気流分布は均一である。また、外気は主に風上側の側窓から卓越して流入し、気流速は風下側に向かって徐々に小さくなる(図2)。
  4. 天窓のみを開口したケース1とケース3は室内気温が高く、気温分布は均一でない。特に、屋外風速が小さいと、天窓のみを開口したケース1の平均気温は、外気よりも約10℃、昇温すると予測される。また、天窓と側窓を開口したケース2、ケース4の気温は、風上側は外気温に近く、風下側に向かって僅かに気温が高くなるが、屋外風速の大小に関わらず、気温分布はケース1、ケース3よりも均一である(図3)。
  5. 高温期において、超低コストハウス内の気温を低減するとともに、気流・気温分布を均一にするためには、天窓と側窓を開口する必要がある。
成果の活用面・留意点
  1. 超低コストハウスを高温期に利用するための技術資料となる。
  2. 本解析では、植物群落の気流抵抗や植物や地表の蒸発散の影響は考慮していない。
  3. CFD解析には、農林水産研究計算センターの科学技術計算システムに導入されている汎用熱流体解析プログラムFLUENT6.3.26(Fluent Inc.)を用いている。
図表1 228161-1.gif
図表2 228161-2.gif
カテゴリ 施設園芸 大規模化 低コスト

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