瀬淵工法による排水路内での瀬淵構造の形成・維持過程

タイトル 瀬淵工法による排水路内での瀬淵構造の形成・維持過程
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2003~2007
研究担当者 加藤敬
向井章恵
樽屋啓之
田中良和
発行年度 2007
要約  瀬淵工法は排水路内に瀬淵構造を形成する機能を持つ。生物の生息にとって多様な環境を提供する瀬淵構造は、年に3~4回発生する出水ごとに形成、発達、変形を繰り返すが、工法の機能を通じてその構造は維持される。
キーワード 瀬淵工法、瀬淵構造、排水路
背景・ねらい  瀬淵工法は、柵渠排水路のアームに切り欠きを千鳥状につけることで水みちを蛇行させ、流速の変化と底質の移動によって、水路内に瀬淵構造を形成する機能を持つ。
 瀬淵構造(例えば、水路や河川で形成される交互砂州のように、瀬と淵が交互に配置されている構造)は、生物の生息にとって多様な環境を提供するものであるが、様々な流量が流れる現地排水路においては、これらが常に形成・維持されるとは限らない。
 そこで、瀬淵工法の現地実証試験を行い、瀬淵構造の形成・維持過程を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 平坦で単調な水路地形を持ち、出水時には底質が流されるような現地排水路を対象とし、瀬淵工法を導入する。瀬淵工法および現地実証試験の概要を図1に示す。
  2. 瀬淵構造が形成、発達、変形するのは、年に3~4回程度発生する出水時である。図2は、出水イベントと瀬淵構造の経時変化の関係を表している。
  3. 図2の、は、それぞれY=90cm、Y=50cm上の地形標高の平均値を表している。これらの差-が大きいときに、明瞭な瀬淵構造が形成されている。たとえば、図4(b)は図4(a)に比べ、より明瞭な瀬淵構造が認められるが、これは-の変化過程と対応している。
  4. 図3は、横断水路地形(をプロットしたもの)の出水イベントごとの変化を表している。水みちができる水路中央付近で洗掘傾向、側壁付近で堆積傾向が表れ、上下動することから、瀬淵構造の形成、発達、変形が確認できる。とくに、Y80~90付近では、堆積部分に植生が出現し、植生が土砂を捕捉することで瀬淵構造が発達し(出水3以降)、地形標高が上昇する(図4)。
  5. 以上の実証結果から、図1の瀬淵工法の機能を通じて、現地排水路に瀬淵構造が形成・維持されることが示される。
成果の活用面・留意点
  1. 瀬淵工法の適用範囲(室内実験の結果を含む)、作製、設置、維持管理方法については、「自然再生のための住民参加型生物保全水利施設管理システムの開発(ISBN978-4-9904047-0-3)」の中にマニュアルとして収録している。これはDVD化されており、環境施策を実施しようとする地方自治体や土地改良区の職員、団体等が活用できる。
  2. 瀬淵工法を導入する排水路は、上流から土砂が供給されること、土砂を流送させるのに十分な掃流力(勾配、水位など)を有することが必要である。
図表1 228180-1.gif
図表2 228180-2.gif
図表3 228180-3.gif
図表4 228180-4.gif
図表5 228180-5.gif
図表6 228180-6.gif
カテゴリ 管理システム 水管理

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