| タイトル | 費用構造からみたわが国総合農業協同組合合併の経済分析 |
|---|---|
| 担当機関 | 国際政策部 |
| 研究期間 | 1999~2001 |
| 研究担当者 | |
| 発行年度 | 2001 |
| 背景・ねらい | 総合農協の合併問題については、計量的手法により農協事業における規模の経済性が観測され、合併に経済的合理性が認められるとする結果が得られている。しかし、合併の経済性を正確に評価するためには、それぞれの農協に固有である費用効率性を考慮に入れた分析が不可欠であり、これまでの研究では不十分である。そこで本研究では、費用効率性を考慮した農協の費用関数を推計し、より正確な合併の経済分析を行う。 本年度は農協の広域合併等による規模拡大の効果を定量的に評価する事を念頭に置きつつ、農協の生産性変化を計測し、規模の経済性がどの程度これに影響を与えたかを明らかにし、総合的な農協合併の経済分析を試みた。なお生産性変化の計測にあたっては、航空産業や銀行業などで計測例のあるTCI(Firm- Specific Indexes of Technical Change)アプローチによる分析手法を採用した。TCIアプローチのメリットはノンパラメトリックに計算できる全要素生産性(TFP)変化率が生産関数の規模に関する収穫一定の制約を課していることと、タイムトレンドによる計測が生産性変化をトレンドのみで表現しているという問題を克服できる点、そして生産性の時系列的変化だけではなく、各企業(農協)間における生産性変化の違いを考慮している点などが挙げられる。 |
| 成果の内容・特徴 | 昨年度までのフロンティア費用関数による分析の結果、農協合併の費用削減効果において、いわゆる規模の経済性による効果が一定程度認められるものの、近年の規模拡大進展の結果や事業内容構成等の如何によって、その効果は限定的となる可能性が認められ、場合によっては現状の合併構想がむしろ費用増加的であることや、合併に伴う経営効率性の改善が考慮すべき重要な要因であることを明らかにした。 本年度は、これまでの成果を踏まえつつ、さらに総合的観点から合併の効果を評価するために、TCIアプローチに基づく生産性変化の計測し、80年代から90年代半ばにかけての都道府県別総合農協を分析対象として規模の経済性と生産性の向上について実証分析を試みた。生産性の計測の結果、計測期間中に各農協に固有の生産性指数を示すTCIは約30%向上した(第1図)が、その上昇率は低迷しており、最近ではほぼ横這い状態であることが明らかになった。さらに総技術変化とスケールメリットを考慮したTFP変化率を計測したところ(第1表)、技術進歩と規模の経済性の双方が低迷しており、さらに変化率が90年代にはマイナスに転じるなど、TFPは著しく伸び悩んでいる。本結果は同期間における農協経営の不振を生産性の観点から裏打ちしており、また技術変化率の低迷のみならず、規模の利益による生産性への寄与が低下しているとの結果は、生産性の向上要因としての広域合併の限界を示した。 本課題による研究成果を総括すると、農協合併の費用削減効果は広域合併の進展等に伴い最適産出水準に近づいたため、徐々に弱まっており、広域合併によるスケールメリットの発揮の余地は狭まっている。このような結果は直ちに広域合併等の効果を否定するものではないが、生産技術水準も90年代に入り低迷を続けており、今後従来にも増して広域合併に伴う経営効率の向上や生産技術の進歩が、農協経営改善のために重要であることを解明した。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| カテゴリ | 規模拡大 経営管理 |
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