| タイトル | アメリカにおける遺伝子組換え作物をめぐる政策動向と規制スタイル |
|---|---|
| 担当機関 | 企画連絡室 |
| 研究期間 | 2004~2006 |
| 研究担当者 | |
| 発行年度 | 2005 |
| 背景・ねらい | 本研究では,世界で最も遺伝子組換え作物(GMO)の商業化が進展しているアメリカを取り上げ,規制における特徴を把握すると共に,その見直し動向について明らかにする。またアメリカが行っているGMOに関する途上国支援の概要について述べると共に,アメリカとEUとの規制スタイルの相違がどこから由来しているのかに関して,仮説的な知見について提示する。 本課題では,現地調査および既存の公刊資料,インターネット情報等を分析することで,アメリカにおける規制の特徴や動向等を明かにした。 |
| 成果の内容・特徴 |
すなわちUSDAは,連邦植物病害法(FPPA)に基づき,作物に対する害虫,雑草,病害の拡大防止の観点からGMO規制を行う。またEPAは,連邦殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法(FIFRA)に基づき,植物体で生成される農薬成分に対して規制を行う。また組換え微生物に関しても,EPAが有毒物質規制法(TSCA)にもとづいて規制を行う。そしてFDAは,連邦食品・医薬品・化粧品法(FFDCA)に基づき,食品や食品添加物,家畜用飼料,医薬品などの安全性について規制を行う。 このようにアメリカにおけるGMO規制は新たな法律を制定せず,既存法を拡張解釈しつつ規制を行っているため,非常に複雑な体系となっている。これを商業化前の規制権限と,商業化後の規制権限という観点から整理すると第1表のようになり,根拠となる法律によって省庁が有する規制権限の及ぶ範囲が異なることが分かる。たとえばUSDAは規制解除を行うことで当該GMOの規制権限を喪失し,このため実際の栽培面積を補足できないといった点が生ずる。 またアメリカ政府では現在GMO規制に対する見直しも進みつつある。このような見直しが進みつつあるのは,これまで想定されていなかったGMO(たとえば,医薬品を産出するGM作物,さらにはGM魚などの動物)が開発されてきたことが背景にある。 とくにUSDAではこれまでの規制体系について大幅に見直す提案(規制根拠を植物病害から有害雑草にまで拡大,リスク・カテゴリーに対応した規制方式,医薬品・工業原料用GMOの試験方法など)が昨年なされており,その規制改変が環境にもたらす影響について環境影響ステートメントが準備されている。そして最終的には連邦行政規則が改訂されることになっている。またFDAからは,新規タンパクの実験段階での意図せざる混入に関するドラフト・ガイドラインが提案されたところである(2006年6月に正式にガイドラインとして公表)。GM動物に関しても,いまのところFDAは新規動物薬としての規制案が提起されているが,USDAからも規制対象とするために,動物健康保護法(AHPA)のもとでの新たな規則案を今後提案することが見込まれる。 またABSPⅡの対象国と品目については,下記のとおりである。ABSPⅡは,下記のように商業栽培の可能性の高い品目に研究を集中させている。 この米欧の政策策定過程はある意味で非常に対照的である。なぜならば,アメリカがGMOを既存の産業政策の延長線上に捉え(ここにはGMOが新たなリスクをもつものではないという前提があった),GMOとして独自の規制を新規に導入することがなかったのに対して,欧州ではGMOを新たな生物としてその環境影響評価を産業利用の前に義務づけ,環境的観点からGMO規制を行なうための全く新たな規制を策定することになったからである。特に環境規制においては環境への悪影響を回避するという観点が強まり,予防的なスタンスで規制体系を策定する傾向が一般的に存在するために,その後のGMO利用に対して慎重な姿勢を導入することになったといえる。また農業分野と比較して,環境分野における政策形成に関しては,市民団体からのインプットも多く,こうした市民の意見も政策に反映される機会が多いといえる。この意味で欧州のGMO規制の土台が環境総局によって形成されたことが米欧の相違を決定づけ,その後の対照的な展開をもたらしたということができる。 このように実用化を「環境放出」と捉え,環境総局が予防的な観点から環境放出指令を策定したEUと,他方,実用化を産業利用と捉え,産業部門ごとの所管省庁の規制を拡大解釈しながら適用してきたアメリカとの間の違いは,所管する省庁あるいは部局(環境保護部局と産業振興部局)の規制スタイルの違いでもある。 なお,興味深いことにGM作物(とくに環境安全性評価)をどの省庁が主導的に規制しているかは,国ごとに違っており(農業省~アメリカ,カナダ,アルゼンチン,中国等;環境省~EU;科学技術省~ブラジル;新規独立機関~豪州),こうした観点から各国の規制の基本的考え方や手法を把握することが当該国のGMO規制を理解する上で重要であると考えられる。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| カテゴリ | 病害虫 害虫 くこ 雑草 抵抗性 トマト なす ナッツ 農薬 バナナ パパイヤ ばれいしょ ひまわり |
| トルコギキョウの低コスト冬季計画生産技術の開発と基本マニュアル |
| 黒ボク土畑におけるメタン発酵消化液由来窒素の動態 |
| 茶園の害虫発生予測やチャ生育予測のための有効積算温度表示器 |