高リジン裸麦中間母本農2号

タイトル 高リジン裸麦中間母本農2号
担当機関 四国農業試験場
研究期間 1990~1997
研究担当者 伊藤昌光
石川直幸
土井芳憲
土門英司
藤田雅也
発行年度 1997
要約 裸麦中間母本農2号(旧系統名:四R系1634)は,二条並性の高リジン裸麦系統で「イチバンボシ」に比べてリジン含有率が約1.5倍高く,第一制限アミノ酸がイソロイシンで,収量性はやや低いが,リジン収量は高い。胚が大きくしわ粒で,アミノ酸組成,ホルデイン電気泳動像等について,高リジン遺伝子lys3aの特性を示す。
背景・ねらい 穀類に含まれるアミノ酸の中で,人間にとって最も不足するアミノ酸(=第一制限アミノ酸)はリジンであり,同様に単胃動物の飼料として利用する場合にも,リジンを補ってやる必要があり,高リジン品種の育成が望まれている。
デンマークで育成されたlys3a遺伝子を持つ「RisO 1508」は,リジン含有率が極めて高いことが知られているが,晩生,長稈で,倒伏に弱く,交配母本としてきわめて使いにくい。そこで,lys3a遺伝子の特性を有し,日本の裸麦の交配母本として使いやすい中間母本の育成を行った。
 
成果の内容・特徴 本系統は,平成2年度(3年4月)四国農業試験場において,高リジン裸麦系統の育成を目的に,「四国裸84号」に極高リジン系統「四系8694」を交配(四交1275)し,派生系統育種法で育成された高リジン裸麦中間母本である。なお,「四系8694」は,「RisO
1508」と「Hiproly」との交雑育成系統である。
  1. 特定形質:リジン含有率は,標準品種イチバンボシ(0.40%)に比べ,1.5倍高い0.60%で,これまでわが国で育成された高リジン品種サンシュウ(0.49%)よりも高い。アミノ酸組成は,高リジン遺伝子lys3aを持つRisO
    1508とほぼ同じで,第一制限アミノ酸がリジンではなくイソロイシンである。ホルデイン電気泳動像,粒の形状等についても,lys3a遺伝子の特性を示す。また,蛋白質含有率もやや高く,「イチバンボシ」に比べ収量性はやや低いものの,リジン収量は「イチバンボシ」比で126%と多い。(表1)
  2. 形態的特性:叢性はやや直立,並渦性は並性で,稈長はやや短,稈の太さは細,条性は二条で,穂型は矢羽根型,穂長はやや長,粒着の粗密は中,芒長はやや長,底刺毛茸は長である。千粒重は大,リットル重はやや小である。(表2)
  3. 生態的特性:播性はⅡ,出穂期はやや早,成熟期は早,皮裸性は裸性で,耐倒伏性は強,収量性はやや多,縞萎縮病抵抗性は弱,うどんこ病抵抗性は中である。(表2)
  4. 外観・精麦品質:胚がやや大きく,粒にしわが多く,原麦の見かけの品質は下の中である。粒質は硝子質で,精麦歩留は低で,精麦白度は極低である。(表3)
 
成果の活用面・留意点 縞萎縮病抵抗性,うどんこ病抵抗性が十分でなく,穂発芽性もやや易なので,交配親の選定に当たってはこれらの点に留意すること。

  
図表1 228625-1.jpg
図表2 228625-2.jpg
図表3 228625-3.jpg
カテゴリ 育種 萎縮病 うどんこ病 しわ粒 抵抗性 品種

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