ババガレイの仔稚魚の成長について

タイトル ババガレイの仔稚魚の成長について
担当機関 福島県水産種苗研究所
研究期間 1996~1996
研究担当者 福島県水産種苗研究所 研究員 渋谷武久
発行年度 1996
要約 天然親魚が自然採卵した受精卵を用い、ババガレイの種苗生産の可能性について検討した結果、卵発生から仔稚魚の生態などについて若干の知見が得られた。
背景・ねらい ババガレイは東北地方の太平洋沿岸において重要なカレイの1種であり、近年は漁獲量が急減していることから、栽培漁業の対象魚として可能性があるかどうか検討するため取り上げた。本県の本種についての取り組みは平成7年度に開始したばかりであるが、平成8年3月に天然養成親魚が池中で自然産卵したことから、この受精卵を用い卵発生から仔稚魚の生態や成長について調査した結果を報告する。
成果の内容・特徴
  1. 卵内発生とふ化
    産卵は平成8年3月26日から5月20日までに35回確認でき、総卵数は、342.9千粒を得た。卵は分離浮遊卵であり、卵径は1.36~1.63mmであった。卵の発生過程を表1に示した。自然海水10℃では、卵は回収1時間で2細胞、4時間で16細胞、8時間で胞胚期に達した。46時間では胚皮が卵黄の約3/4を覆い胚体原基が認められ、76時間では眼胞が、96時間で筋節、クッパー氏胞が確認できた。また、130時間では尾部が形成され、288時間にはふ化は終了していた。ふ化仔魚の全長は5.10~5.13mmの範囲であった。
  2. 仔稚魚の成長
    仔魚からの飼育はホシガレイの飼育方法に準じて行い、飼育水槽は200L透明パンライト水槽を用い、ふ化後2~3日目の全長5.66~5.72mmの仔魚を1水槽当たり0.9~7千尾収容した。飼育水温は18℃とし、餌料は収容1日目から栄養強化剤(商品名アクアラン)で栄養強化したワムシを、14日目からはアルテミアを与えた。
    仔稚魚の平均全長の推移を図1に示した。
    摂餌は収容3~4日目に確認でき、変態は20日目頃から始まり35日目でほぼ終了した。
    着底は60~80日目で終了し稚魚の全長は約20mmであった。体色の発現は90~130日目で、全長30mmに達するころであった。この間仔稚魚の成長は極めて遅く、220日で全長43.6mmであった。
    なお、生残率は60日目の最高で1.3%と低い結果となった。
    弊死にはアルテミア摂餌後から慢性的に生じるものと、水温21℃以上から発生して23℃で全滅するものとがあり、後者については冷却装置で水温を20℃以下に押さえることによりその後の弊死を防止できたことから、ババガレイは20℃以上の水温には耐性がない冷水性魚類に含まれることが示唆された。
成果の活用面・留意点 現在、全長45mmサイズの稚魚を飼育中であるが、冬期間の成長を促進させるため温海水使用により、最低水温を14℃以上に維持した場合の成長を継続調査する予定である。
図表1 229035-1.gif
図表2 229035-2.gif
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