海洋細菌利用による海藻の魚介類初期餌料化技術の開発

タイトル 海洋細菌利用による海藻の魚介類初期餌料化技術の開発
担当機関 中央水産研究所
研究期間 1997~2000
研究担当者 内田基晴
発行年度 1997
要約 海藻分解能の高い海洋細菌で海藻を分解して,魚介類の初期餌料として利用可能な単細胞状のデトリタス粒子に変換する技術を開発した。
背景・ねらい 海藻の細胞は硬い細胞壁で構成されているため,そのままでは口径が小さく,消化能力が未熟な稚魚や幼生のための餌料としては適さない。そこで,海洋細菌に海藻の細胞壁を分解させ,単細胞状のデトリタス粒子に変換することにより,稚仔魚や幼生が食べるのに適した大きさで,かつ消化し易く栄養価の高い初期餌料に転換する技術の開発を目指す。
成果の内容・特徴
  1. 全国各地の海水より海藻を分解する能力を有する海洋細菌を多数収集し,分解力が非常に強力な1株(シュードアルテロモナス・アトランティカ AR06株)を得た。
  2. AR06株でマコンブの葉体を分解させることにより,海藻を個々の細胞にまで分解した粒子,即ち単細胞性デトリタス(図1:Single cell detritus, 以下SCDと略す)を得た。
  3. SCDは,
    1. 直径が約4-10μmで,魚介類の稚仔魚や幼生の餌料として適したサイズである,
    2. 硬い細胞壁が分解されており,消化されやすい状態である,
    という特徴を有し,調製も簡便である。培養維持に多大な労力を要する植物プランクトン餌料に代えて,SCDを魚介類の初期餌料として利用しうる可能性がある。
  4. マコンブや未利用資源であるアオサの葉体から調製したSCDが,魚の餌料として利用される有用動物プランクトンであるアルテミアに対する餌料として有効であることを証明した(図2,表1)。
成果の活用面・留意点 今後,成長促進物質の生産,あるいは病原菌を抑えるはたらきなど,有用機能を有する細菌をSCD表面に付着させることにより,機能性を付与した餌料の開発が期待される。
アオサのように大量繁殖して処分に困っている海藻類を,その現場で餌料価値の高いSCD粒子に変換して有用水産生物の生産結びつけていく技術,いわば”海の堆肥技術”の開発につなげたい。
図表1 229063-1.gif
図表2 229063-2.gif
図表3 229063-3.gif
カテゴリ 機能性 なす 繁殖性改善 未利用資源

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