麻痺性貝毒の発生予知手法の開発

タイトル 麻痺性貝毒の発生予知手法の開発
担当機関 茨城県水産試験場海洋漁業部
研究期間 1995~1998
研究担当者 藤冨正毅
発行年度 1998
要約 茨城県地先の麻痺性貝毒の発生の原因プランクトン種は主に3~4月(平成5年~8年)はA.tamarenseで構成され、一方5~7月(昭和63年と平成元年)はA.catenellaで構成されていた。1987年(S62)~1998年(H10)の12年間で9回の発生があった。ムラサキイガイは9回の全ての年に毒化し、最も毒化しやすく、毒化時期が早い傾向にあった。この間、鹿島灘はまぐりは3回、ホッキガイは2回毒化した。
背景・ねらい 本県の鹿島灘の沿岸域では沿岸漁業にとって重要な貝桁網漁業が操業されている。
対象となっている二枚貝は鹿島灘はまぐり、ホッキガイ、コタマガイ等で、近年これら二枚貝に麻痺性及び下痢性貝毒化が発生している(下痢性貝毒化は1981年(S56)に、麻痺性貝毒化は1987年(S62)に初めて報告された)。
これら二枚貝類の毒化予知手法を開発し、食品衛生上から安全な食品としての二枚貝を提供することが水産上で重要な課題となっている。
成果の内容・特徴
  1. 麻痺性貝毒生産種(Alexandrium属)による貝毒化の発生時期、適水温、プランクトンの密度について
    麻痺性貝毒の発生はA.tamarenseが原因となる場合は主に3~4月、水温が9.0~14.5℃で、450cells/l以上の時に、またA.catenellaが原因となる場合は主に5~6月、水温が15.5~19.5℃ で、430,000~2,389,000cells/l以上の時に毒化している。
  2. A.tamarenseの細胞数増加とムラサキイガイ毒化後の鹿島灘はまぐりとホッキガイの毒化までの時間的ズレについて
    鹿島灘はまぐりとホッキガイが毒化した3事例では、事前のA.tamarenseの1リットル当りの細胞数が約450cells/lを超えると貝毒化が発生する傾向が窺がえた。プランクトン数の増加から毒化時までの経過日数には4~12日間のズレがあった。
    また、上記3事例で、ムラサキイガイが毒化してからこれら二枚貝が毒化するまでの期間のズレは7~25日の差があった。この時ムラサキイガイの貝毒量が中腸腺で29MU/g以上、可食部で5.4MU/g以上になると鹿島灘はまぐり、ホッキガイで毒化する傾向が窺がえた。
成果の活用面・留意点
  1. 食品衛生上、安全な食品としての二枚貝を提供するために麻痺性貝毒原因プランクトン数の増加傾向や,ムラサキイガイ等の貝毒量を検査することで、鹿島灘の沿岸漁業にとって重要な貝桁網漁業の対象となっている鹿島灘はまぐり、ホッキガイ等の麻痺性貝毒化を予知する可能性が窺がえた。
  2. そのためにはプランクトンの採集から検鏡までを迅速に行わなければならない。従来の沈殿法(採集から検鏡までに3日を要する)によらず、フィルタ-濾過法(宮城県水産研究開発センタ-等)や、HPLC(青森県水産増殖センタ-等)による測定が試みられている。今後これらの方法を検討する必要がある。
図表1 229114-1.gif
図表2 229114-2.gif
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