窒素炭素安定同位体比を指標とした放流ヒラメ種苗の馴致過程の推定

タイトル 窒素炭素安定同位体比を指標とした放流ヒラメ種苗の馴致過程の推定
担当機関 独立行政法人水産総合研究センター中央水産研究所
研究期間 2001~2005
研究担当者 一色竜也
工藤孝浩(神奈川県水産総合研究所)
浅海生態系研究室)
浅海増殖部
渡部諭史
福田雅明(中央水産研究所
発行年度 2004
背景・ねらい 人工種苗を放流する際、放流場の適否が重要である。特に放流直後から天然海域に馴致するまでの過程では、人工餌料から天然餌料への速やかな転換が必要となり、それを可能とする海域が放流適地といえる。しかし、食性調査等の通常の手段では餌料転換過程の定量的な評価は困難である。本研究では、ヒラメ人工種苗の放流場への馴致過程(餌料転換過程)を示す指標として、炭素および窒素安定同位体比の利用可能性を検討した。
成果の内容・特徴 神奈川水総研で生産したヒラメ種苗を相模湾沿岸の3海域(長者ヶ崎、荒崎、城ヶ島)に放流し、週1回の再捕調査を行った。サイズ計測後に筋肉組織の炭素、窒素安定同位体比(δ13Cとδ15N)および栄養状態の指標となる核酸比(RNA/DNA)を測定して放流後の経時変化を調べた。放流種苗の識別は耳石のALC標識で行った。
長者ヶ崎のみで採集された天然個体の安定同位体比の平均値(δ13C=-13.92±0.21, δ15N=13.13±0.79)を天然食性の指標値と考え、放流時(δ13C=-18.31±0.15, δ15N=12.21±0.24)からの経時変化を調べたところ、長者ヶ崎では約2週間後に天然個体と同等の値(δ13C=-14.68, δ15N=13.45)に達した。一方、他海域では、同位体比に顕著な変化が見られず、放流の3週間後には採集されなくなった。
核酸比分析の結果、長者ヶ崎の種苗は天然魚と同等に栄養状態が良く、他の2海域では悪いことが分かった。また、安定同位体比の1日当たりの変化量は、核酸比及び肥満度と有意な正の相関関係にあった。以上から、炭素、窒素安定同位体比による放流種苗の馴致過程の質的かつ量的なモニターが可能であることが示された。
成果の活用面・留意点 種苗放流場所の評価が可能になるため、適切な放流場所の選択に活用できる。
安定同位体比の分析には、高価な装置及び薬品が必要である。
図表1 229652-1.png
図表2 229652-2.png
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