| タイトル | タイラギ浮遊幼生の飼育と着底・変態 |
|---|---|
| 担当機関 | 佐賀県有明水産振興センター |
| 研究期間 | 2001~2001 |
| 研究担当者 |
川原逸朗 |
| 発行年度 | 2004 |
| 背景・ねらい | タイラギの漁獲量は、漁場の縮小や原因不明の大量斃死の発生により、近年著しく減少している。タイラギ漁業生産の回復のためには、漁場縮小原因の解明とそれにともなう漁場の再生や大量斃死の原因解明が不可欠である。このうち、漁場縮小原因の解明と漁場造成事業等の漁場再生策を講じるためには、有明海における浮遊幼生および着底稚貝の分布域や分布量を明らかにするとともに、人工飼育によって、浮遊幼生から着底稚貝に至る基質(底質)の選択性や着底稚貝の生残に及ぼす底質環境などを明らかにする必要がある。 |
| 成果の内容・特徴 | 人工受精によりタイラギの受精卵を得、国内では2例目となる稚貝までの飼育に成功した。 成熟幼生を用いて、その形態変化および変態行動ならびに着底・変態に及ぼす基質の影響に関する実験を行った(図1)。実験は、直径5cmのシャーレを用い、底面に干潟泥を塗布したもの(泥区)、細砂と干潟泥を混合して塗布したもの(砂泥区)及び海水のみを入れたもの(海水区)に成熟幼生を移して行った。着底・変態した成熟幼生の幼殻長は570μmから695μmで、平均642μmであった。 着底基質については、泥、砂泥、海水のいずれの区でも着底がみられたことから、タイラギ浮遊幼生に基質選択性がない可能性が示唆された(表1)。一方で、これら3つの区で得られた着底稚貝は、その後、泥区、海水区では死亡し、砂泥区の稚貝だけが成長を続けたことから、着底・変態後の生残には基質(底質)が影響している可能性が示唆された(図2)。 形態変化や変態行動の観察では、着底・変態の1日後には殻長が約2倍となるなど、着底初期の成長が早いこと、着底後すぐに足糸を伸長し砂粒を固着させることで身体を固定し、新生殻部分が着底基質から抜き出て、成貝と同様外套膜を使って呼吸を始めることが明らかとなった(図3)。このような成長の早さや形態変化は、有明海のような浮泥が堆積しやすい底質環境において、生き残るための重要な要素になるのではないかと思われた。 |
| 成果の活用面・留意点 | タイラギ浮遊幼生の基質選択性や着底稚貝の生残と着底基質との関係を明らかにすることは、現在、有明海で問題となっているタイラギ漁場の縮小原因の解明につながるとともに、今後の漁場改善等による資源増殖策を講ずる上で重要な知見となる。 |
| 図表1 | ![]() |
| カテゴリ |
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