タイトル | カツオ竿釣り船の餌イワシ代替餌料の開発試験 |
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担当機関 | 静岡県水産試験場 |
研究期間 | 2000~2004 |
研究担当者 |
野田浩之 福世傳左衛門 |
発行年度 | 2005 |
背景・ねらい | カツオ竿釣り船では撒き餌としてイワシ類の活魚が用いられているが、近年のマイワシ漁獲量の減少により、餌料用のイワシ類が不足している。イワシ類は高水温に弱く船上蓄養中は冷却海水が用いられるが、高温耐性の強い魚種が撒き餌に利用できれば、これらのコストを削減することが可能となる。サバヒーを用いて、船上蓄養試験とカツオに対する漁獲効果試験を実施した結果、蓄養中の生残率はカタクチイワシに比べて著しく高く、サバヒーのみを用いて群を誘引し漁獲を行えたことから、カツオ竿釣り用餌料としてのサバヒーの有効性を確認できた。 |
成果の内容・特徴 | 静岡県水産試験場遠洋漁業練習指導船富士丸の南方漁場カツオ調査におけるサバヒ-蓄養試験 サバヒー80千尾とカタクチイワシ130杯(推定84千尾)を積み込み、サバヒー、カタクチイワシともに魚槽を2槽使用し蓄養試験を行った。サバヒーは自然海水(水温24.9~28.3℃)と冷却海水(水温16.2~18.5℃)で、カタクチイワシは冷却海水(水温16.2~18.5℃)で飼育を行った結果、蓄養中の生残率はカタクチイワシが81%以下であったのに対し、サバヒ-は97.4%と高かった。 表1 富士丸による漁獲試験結果サバヒーとカタクチイワシを混合して投餌し、漁獲したカツオの胃内容物を調査した結果、カタクチイワシだけが選択して摂餌されるようなことは無く、むしろサバヒーの方が多く摂餌される事例もあった。またサバヒー主体(94%)の撒き餌で3トンのカツオを漁獲することが出来た。投餌したサバヒ-(尾叉長7~13cm)と漁獲したカツオ(4.8~7.5kg)の胃に含まれていたサバヒーの体長を比較した結果、同様な組成を示しており、7~13cmのサバヒ-は4.8~7.5kgのカツオに対して問題無く利用できると考えられた。 |
成果の活用面・留意点 | 人工的に種苗生産されたサバヒーを利用することで、気象条件やイワシの漁模様に左右されず餌料の安定した確保が行えるようになる。南方漁場での操業において、自然海水で蓄養しても高生残率が期待できることから、海水冷却コストの削減につながる。サバヒーのみを用いてカツオを船の周囲に誘致し、漁獲を行うことができた。また活力が高いため、餌釣りのつけ餌としても有効であった。しかしカタクチイワシに比べて水中で下に潜る性質が強いことから、漁獲率向上のための使用法について検討の余地が残された。 |
図表1 | ![]() |
カテゴリ | 高温耐性 コスト |