イワナを人為的に除去した禁漁河川内試験区での資源回復

タイトル イワナを人為的に除去した禁漁河川内試験区での資源回復
担当機関 長野県水産試験場
研究期間 2003~2007
研究担当者 河野成実(環境部)
発行年度 2006
背景・ねらい
 禁漁区設定によって期待される資源回復と下流への資源添加効果について実証試験により検討した。イワナの自然再生産が行われている渓流漁場禁漁区において、堰堤で囲まれた区間(以下「除去区」という。)に生息するイワナを可能な限り除去し、1年後の資源の回復状況を調査した(図1)。

成果の内容・特徴  試験実施前の生息密度は、除去区で0.26尾/m2、対照とした上流区で0.15尾/m2であった。除去区では捕獲作業によって平成15年に推定生息密度を0.02尾/m2、16年は0.03尾/m2まで低下させたが、1年後の推定生息密度はそれぞれ0.21尾/m2、0.23尾/m2を示し、上流区(それぞれ0.21尾/m2、0.26尾/m2)と同程度に復活した(図2)。それぞれの全長組成についてGladfelterら(1980)の方法により類似度dを求めて比較したところ、除去区で復活した個体群は当初の全長組成と異なり上流区にみられる全長組成に類似した。また、16年10月に台風による大規模な出水や土砂崩落があり17年には調査区全域で当歳魚が極めて多い年級群構造を示したが、除去区の全長組成は上流区と類似した組成を示した(図3)。

 除去区への降下と移動を確認するため、15年10月及び16年11月に上流区で捕獲したイワナの脂鰭を切除し、17年5月及び10月に標識魚の移動を確認した。上流区標識魚(97%は1+以上)が最も下流で確認された場所は、上流区下端から145m下流であった(図4)。上流区上端にいた個体が降下したとしても1+以上のイワナの降下範囲は300m程度までと考えられ、除去区で復活した群の大部分は上流150mの範囲内から流下してきたものと考えられた。

成果の活用面・留意点
 資源が枯渇した状態でも漁獲圧がなければ1年後には上流と同程度の密度に復活すること、及び、復活は上流の個体群構造と出水等による河川環境の変動に影響されることが実証試験により明らかとなり、禁漁区設定によって期待される資源回復と下流への資源添加効果を具体化することができた。


図表1 229905-1.pdf
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