東シナ海・九州西岸域に分布するマルアジの年齢・成長・成熟特性

タイトル 東シナ海・九州西岸域に分布するマルアジの年齢・成長・成熟特性
担当機関 独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所
研究期間
研究担当者 依田真里(西水研)
一丸俊雄(長崎総合水試)
森永法政(鹿児島水技センター)
大下誠二
板坂信明
発行年度 2006
背景・ねらい
東シナ海においてムロアジ類は数種分布するが、その中でもマルアジは特に漁業者にとって関心の高い魚種である。かつて1980年代には東シナ海南部海域においてマルアジが多獲されたが、近年大中型まき網漁船が東シナ海南部まで行く機会が減ったこともありマルアジの漁獲量は大きく減少している。東シナ海に分布するムロアジ類の分布特性や形態に関する論文は存在するものの、資源評価をする上で重要な年齢・成長や成熟特性に関する論文はなかった。そこでここでは、近年マルアジの主漁場となっている九州西岸域におけるこれら生物特性について明らかにすることを目的とした。

成果の内容・特徴
サンプルは主に長崎県・鹿児島県に水揚げされたものを用いた。サンプリング期間は1998年から2004年である。基本的な生物測定の後、年齢形質として耳石を摘出した。また、成熟特性の把握のため生殖腺(主に雌)を摘出し10%ホルマリンにて固定した。耳石は、熱した後樹脂包埋し、核の部分で切断したものを画像解析装置を用いて年齢を査定し、縁辺成長率を計算した。生殖腺はパラフィン包埋し、数μmの連続切片を作成したのちHE染色を施し、光学顕微鏡により検鏡した。

 耳石に形成される輪の縁辺成長率の経月変化から、毎年1本の輪が形成され、その形成時期は6月であることが明らかとなったため、この輪を年輪と判断した(図1)。年輪の査定結果からvon Bertalanffyの成長式を次のように推定した。

FLt=342(1-exp(-0.55(t+0.58)))

ただし、FLtはt歳における尾叉長(mm)。この式により満1歳では約200mm、2歳では240mm、3歳では280mmと成長することが明らかとなった(図2)。なお、雌雄による成長の差は認められなかった。

 生殖腺重量指数(生殖腺重量×100÷体重)の経月変化から主産卵期は6月であることがわかった。生殖腺重量指数と切片から観察された成熟度との関係から、生殖腺重量指数が約4以上であれば産卵に関係していることが判明した(図3)。

成果の活用面・留意点
前述した年齢・成長との関係から、初回成熟年齢は満2歳であることがわかった。今後はこれらの生物特性を用い、資源評価へ生かすとともに、アジ科魚類の比較生物学的研究も推進したい。


図表1 229936-1.pdf
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