黒潮続流再循環域における冬季の表層環境の変化

タイトル 黒潮続流再循環域における冬季の表層環境の変化
担当機関 独立行政法人水産総合研究センター遠洋水産研究所
研究期間 2006~2010
研究担当者 亀田卓彦
植原量行(遠洋水産研究所業務推進部海洋研究グループ)
発行年度 2007
背景・ねらい
近年,水産資源の変動が気候変動と同期していることが明らかになりつつある.特に,黒潮続流周辺海域の変動はマイワシなどの小型浮魚だけでなく,クロマグロなどの大型浮魚類の増減とも高い相関関係にあることがわかってきた.
一般に水産資源量は漁獲尾数や単位努力量あたりの漁獲量から計算され,自然死亡係数などが一定という仮定がされる.これは自然が変化しないという大胆な仮定である.しかし,近年明らかになってきた気候‐海洋‐海洋生態系レジームシフトは自然が変化することを明確に表しており,このことから自然の変化を取り入れた資源管理理論を構築する必要性が示される.
このような背景から,黒潮続流南側再循環海域における物理・化学過程の調査を行い,この海域の生態系構造の解明に資する情報を集めると共に,水塊形成・変質が活発となる冬季におけるこの海域の海洋構造の変化を明らかにする.

成果の内容・特徴 2005年11月末から2006年1月末までの期間に,黒潮続流南側再循環域の同一地点で4回観測を実施し,晩秋から真冬にかけての表層混合層の発達を捉えた.11月27日は24℃,85m程度の混合層が,1月20日では18℃,240mとなり,水温は5.2℃低下し,混合層深度は155m深くなった.塩分は0.2psu増加し200m付近の塩分極大が実質的に見られなくなった.これは海洋内部のみの混合では説明できず,海面の蒸発過多による実質的な塩分増加を示唆している.このことは,この海域の混合層形成には熱的要素だけでなく,海面での淡水フラックスの効果が無視できないことを意味する.つまり,この海域の表層環境を考える上で海面での密度フラックスが非常に重要であることが示された.

成果の活用面・留意点
・このような環境変化の理解が,資源動態メカニズムの理解に繋がる.
・表層環境を決める要因となる海面での熱・淡水のやり取りを観測により明らかにする必要がある.
・著しく成層し表層の栄養塩が枯渇する夏季の大気・海洋の状態を理解する必要がある.


図表1 229946-1.pdf
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