イタボガキの成熟と稚貝の成長

タイトル イタボガキの成熟と稚貝の成長
担当機関 岡山県水産試験場
研究期間 2004~2006
研究担当者 清水泰子
発行年度 2007
背景・ねらい
 底生性のカキであるイタボガキは、かつて瀬戸内海で多く漁獲されて食用となっていたが、その後減少して現在は流通が無い。近年種苗生産や養殖試験などの取り組みが行われており、生産効率を上げるために数種の試験を行った。

成果の内容・特徴 成熟時期について
 月ごとに軟体部の組織切片を作成し、雌、雄、両性、未熟の4種に分類した結果、雌は1年中存在したが雄は5月下旬~9月にのみ現れ、6月下旬~9月上旬には半数以上を占めた(図1)。また、量的な偏りがあるが、ほとんどの個体が両性の生殖細胞を持つ雌雄同体であった。
 6月下旬から2日ごとに2年貝の幼生放出状況を調べたところ、7月上旬に最も幼生放出率が高く、合計幼生放出数が多かった(図2)。また、期間中に死亡個体を除く80%の個体が1回以上幼生を放出し、2回以上幼生を放出した個体の平均放出間隔は約27日間であった。
付着稚貝の垂下水深について
 殻高0.4mmと1.5mmの付着稚貝を、水深0.5mと7mに49日間垂下し、成長、生残、付着生物数を調べた結果、1.5mmの稚貝を7mに垂下した場合に最も生残が良く(図3)、0.4mmの稚貝を0.5mに垂下した場合に最も成長が良かった(図4)。また、0.5mではホタテ殻付着板27枚に142個のマガキが付着したが、7mの深吊りでは付着板22枚にマガキやその他の生物は付着しなかった。
系統別の成長について
 同時期に生産し、同条件で育成した香川、石川系統稚貝の成長を比較したところ、生産から1年半後の石川系統の殻高とむき身重量は香川系統より大きく、両系統の成長特性に違いがある可能性が示唆された(図5)。

成果の活用面・留意点
○深吊りで垂下後の減耗と他生物の付着を抑制できる。
○系統によって成長特性が異なる可能性があるため、生物多様性の観点から種苗の移動に配慮する必要がある。


図表1 229990-1.pdf
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