海洋ゴミ回収活動の経済的評価

タイトル 海洋ゴミ回収活動の経済的評価
担当機関 独立行政法人水産総合研究センター中央水産研究所
研究期間 2006~2006
研究担当者 三谷卓美
発行年度 2007
背景・ねらい
「水産業及び漁村の多面的な機能」に関する学術会議答申(2004)においては、海洋ゴミの回収活動を自然環境を保全する役割と位置づけ、海浜清掃、海底清掃等の経済的価値を1,602億円と評価している。
今回は、従来は評価対象外であった船曳網漁業の活動等を漁業現場で調査するとともに、海洋ゴミの回収活動全般について国民へのインターネット調査を実施し選択型コンジョイント分析によって経済的評価を試みた。また、これらを通じて、海洋ゴミ回収活動の経済的評価に関する問題点を抽出した。

成果の内容・特徴 1.船曳網漁業では、調査船調査(図1)や漁業者からの聞き取り(表1)によると、漂流ゴミで多いのは、ビニール、発泡スチレン、プラスチック、やっかいなゴミは陸上植物由来物(自然木、枝、葉等、人が切り取ったものを含む。しらすに付着して製品を変色させるという)であった。ビニール等や自然木等は、高知地裁民昭和47年判決によるまでもなく漁業被害の原因となる。一方で、やっかいなゴミのうち小さなものは漁業としては害を被るが、陸の視点からは多面的機能の対象ではない(自然環境保全行為ではない)。つまり、海洋ゴミに対して船曳網漁業では、多面的機能の対象とみるよりも被害者であるとの声が大きい。
2.インターネット調査として全国の成人1,200人を対象に、沿岸の海洋ゴミ回収から陸揚げまでの活動のための基金募集(支払い意志)に関するアンケートを実施した(表2)。20年後の海洋ゴミが、現状比1%ずつ減少する毎に一人当たり毎年18円(放置すると20年後に現状比50%増加するゴミを現状水準に維持する活動には毎年900円を寄付してもよい)、寄付率が1%増加する毎に3円、との評価結果となった。
3.この評価は既往研究の範囲内にあり、現行の同種の施策経費よりかなり大きい。このため、(長期的には本来の生産機能と一体で多面的機能を発揮するが)短期的には多面的機能を主に担うものとして、専ら海洋ゴミの回収活動に当たる漁業があっても良いとの国民の理解が必要である。

成果の活用面・留意点
インターネット調査結果の偏り等、経済的評価に関する技術的問題点は今後の検討課題である。また、確度の高い評価シナリオには、1)海洋ゴミの堆積量や速度の把握、2)海洋ゴミ除去必要水準の明確化(生活環境や生態系の保全、被害者である漁業として)、等も必要である。それは環境保全施策にも直結する。


図表1 230052-1.pdf
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