ホタテガイ稚貝へのコノハクラゲの共生とその影響

タイトル ホタテガイ稚貝へのコノハクラゲの共生とその影響
担当機関 北海道立函館水産試験場
研究期間 2006~2008
研究担当者 北海道立函館水産試験場 調査研究部 (現水産試験場)
発行年度 2008
背景・ねらい
噴火湾ホタテガイ養殖において、平成15年に稚貝の大量へい死が起きた。この時のへい死要因調査で、ヒドロ虫のコノハクラゲが稚貝に大量に共生している事が初めて発見された。コノハクラゲの共生と大量へい死との関係を明らかにするために、コノハクラゲの生態調査と稚貝への直接的影響調査を実施した。

成果の内容・特徴 【コノハクラゲ生態】1) 感染経路:コノハクラゲはホタテガイ成貝(耳つり貝)にはほとんど共生しない。また、耳つりホタテガイの殻上等に生息しているムラサキイガイには共生していない。これらの事から、コノハクラゲは清掃されていない養殖施設に生息している主宿主のムラサキガイからホタテガイ稚貝へ感染すると考えられる(図1)。2) 共生状況年変動:ホタテガイ稚貝への共生状況の年変動は大きい。過去5年のうち大量共生は平成15, 18年、小規模共生は平成16, 17, 19 年であった(図2)。3) 共生状況季節変動:共生の拡大は非常に早く、ポリプの増殖速度も非常に速い。一方、水温低下後の共生率の低下とポリプの脱落も非常に早い(図3、4)。

【コノハクラゲ共生の稚貝への影響】1) 殻長成長への影響:共生は稚貝の殻長成長を43%程度阻害した(図5)。2) 栄養蓄積状況への影響:共生は稚貝の中腸腺の中性脂肪の蓄積を24~47%低下させた(図6)。
成果の活用面・留意点
平成18年の大量共生時には稚貝の大量へい死は起きなかった。したがって、コノハクラゲの共生は稚貝の直接的へい死要因ではない。ただし、成長や栄養の蓄積状況には影響しており、コノハクラゲの共生は稚貝にとって大きなストレスである。噴火湾におけるコノハクラゲの主宿主はムラサキイガイであるが、0齢(小型)のムラサキイガイには共生しない事がわかっている。また、ホタテガイの成貝やその殻上等に生息するムラサキイガイには共生していない。これらのことから、主要な感染源は養殖施設に生息している2齢以上の主宿主ムラサキイガイと考えられるため、施設の定期的な清掃が有効な防除策と考えられる。

図表1 230080-1.pdf
カテゴリ 病害虫 季節変動 防除

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