ヒジキ漁場造成に係る磯掃除の効果と流速および水深についての最適条件の検討

タイトル ヒジキ漁場造成に係る磯掃除の効果と流速および水深についての最適条件の検討
担当機関 和歌山県農林水産総合技術センター
研究期間 2007~2009
研究担当者 山内信
発行年度 2008
背景・ねらい
和歌山県のヒジキ水揚げ量は毎年300~400tで推移し、遠浅の平磯が続き磯根漁業に依存度の高い紀南地方の漁家にとっては重要な漁獲対象種である。しかし、生産量は年々減少傾向にあり、漁業者らによる磯掃除などの増殖対策を実施しているもののその効果は必ずしも明らかではなかった。そこで、磯掃除の効果を明らかにするとともに、漁場造成の条件として、群落形成に適した流速や水深を明らかにするための調査を実施した。
成果の内容・特徴 試験区域はヒジキの生育がみられなくなった田辺湾奥部に位置する滝内地先(図1)の岩礁域とし、波浪条件の異なる4カ所(図2)を設けて実施した。

磯掃除の効果:試験区には2kgの母藻を入れたスポアバッグを設置して、2平方メートルのうち1平方メートルは全ての海藻類・底棲動物を除去(除去区)し、残りの1平方メートル(未除去区)と発芽数を比較した。除去区では未除去区の10.0~16.9倍の発芽数が認められ、磯掃除は有効であることが判った(図3)。

平均流速と発芽体数の関係:上記4ヶ所の試験区に7月と9月に石膏ボールを設置して平均流速を調べた結果、9.67~24.27cm/secの範囲では平均流速が速いほど発芽数が多く(図4)、湾奥部の静穏域では浮泥が発芽に影響するものとみなされた。

造成適水深:種苗を着生させたブロックを潮位表基準水面+30cmから-90cmの30cm間隔5水深に設置し、生残状況を確認した結果、平均潮位0cm以上が良好とみなされ、それ以深ではヒジキ種苗は生残しなかった(表1)。
成果の活用面・留意点
本研究の成果により、沿岸の静穏域での漁場造成においては、流速や水深に留意して造成場所の決定が必要であり、磯掃除の実施が不可欠であることが明らかになった。

 本研究では、ウニ類や魚類の食害は考慮されていないため、造成場所でどのような阻害要因があるかを検討する必要があり、ウニ駆除などの対策も平行して実施することが望ましいと考えられる。

図表1 230122-1.pdf
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