| タイトル |
光に対する反応を利用したイセエビ幼生の飼育システムの開発 |
| 担当機関 |
三重県水産研究所 |
| 研究期間 |
2005~2007 |
| 研究担当者 |
松田浩一
|
| 発行年度 |
2008 |
| 要約 |
イセエビ幼生の走光性を利用して効率的に飼育するためのシステムを開発した。システムは一対の円型水槽が連結した構造で、連結部の仕切板の着脱によって水槽の分離、一体化が可能である。飼育は一方の水槽で行い、水槽交換の際には水槽側面から光を照射し、幼生を自発的に新しい水槽側へ移動させることが特徴である。この水槽を用いることで、飼育の効率化、生残率の向上が可能となった。
|
| 背景・ねらい |
イセエビは沿岸漁業の重要な対象種であり、その積極的な増殖技術の開発が求められているが、幼生期の大量飼育が困難で、増殖に用いる稚エビの大量生産技術は確立していない。イセエビ幼生の大量飼育が困難な要因として、幼生の繊細な形態によって飼育水槽の交換等飼育管理に大きな労力を必要とし、飼育規模の拡大が困難なことがある。そこで、イセエビ幼生が示す光に対する反応を利用してイセエビ幼生の効率的な飼育管理を可能とする飼育システムを開発した。
|
| 成果の内容・特徴 |
開発したシステムは、一対の円型水槽を連結した状態で、その連結部には脱着が可能な仕切板が装着できる構造になっている(写真1)。イセエビ幼生の飼育は一方の円型水槽で行うが、水槽の交換時にはもう一方の水槽にも海水を張り、仕切版を取り除いて両方の水槽を一体化した上で、光を一定の方向(幼生が正の走光性を示す時は新しい水槽側、負の走光性を示す時は古い水槽側)からあてることで幼生を自発的に新しい水槽側へ移動させる。このように、幼生を自発的に移動させることにより効率的な水槽交換が可能である。
|
| 成果の活用面・留意点 |
開発したシステム(水槽部の容量約40L)を用いてふ化幼生380個体の飼育を試みた。ふ化直後の幼生は強い正の走光性を示したが、日令80程度以降は多くの個体で負の走光性を示すようになった(図1)。これら幼生の走行性を利用することで約80%の個体に対して自発的に水槽間を移動させることが可能であった。通常使用している楕円型水槽(容量40L)と比較して、水槽交換に要する時間は1/3~1/2と短縮され、飼育作業の効率化が進んだ。開発した水槽では効率的な水槽交換が可能なため水槽交換を毎日行ったところ、日令300における生残率は28%と、同時に行った楕円型水槽(1週間に2回の水槽交換)での飼育における生残率(14%)を上回った(図2)。開発した水槽で生残率が向上した要因として、水槽交換の頻度を高めたことで水槽の汚れが低減し、幼生の疾病発生数が減少したことが考えられた。以上のことから、開発した水槽はイセエビ幼生の飼育水槽として有効と判断され、平成18年度に特許出願を行った(特願2006-355975)。今後、飼育規模の拡大について研究を進めるとともに、より高率で幼生の行動を制御できる光条件について検討することとしている。
|
| 図表1 |
 |
| 図表2 |
 |
| 図表3 |
 |
| カテゴリ |
光条件
|