タイトル |
水耕育苗による水稲苗の長期貯蔵 |
担当機関 |
東北農業試験場 |
研究期間 |
1993~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1993 |
要約 |
水耕育苗によ田植機用のマット苗は、貯蔵温度8度C・照明処理・乾燥防止処理・殺菌剤処理を行うことにより、20日貯蔵で90%以上、40日貯蔵で60%以上の活着率が得られる。
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背景・ねらい |
稲作における規模拡大・省力化のための新技術が求められている。 その一つとして、田植機用のマット苗を水耕装置で育苗し、 土や成形培地等を使わずに苗の根がらみだけで成形する新しい育苗方式を開発し、 この苗を反復して生産し、貯蔵することにより移植適期に大量に供給できる 苗生産システムを検討している。ここでは苗を長期間貯蔵するための条件を解明し、さらに水耕苗と慣行の土付苗との貯蔵性を比較した。
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成果の内容・特徴 |
- 貯蔵した苗を本田に移植して活着率を調査した結果、
貯蔵温度は8度Cが最適で、4度Cの低温ではほとんどの苗が枯死する (表1)。
- 貯蔵中、照明処理を行わない苗は著しく退色し、
照明処理した(照度2500LX,処理時間 12時間/日,昼光色蛍光灯)に 比べて活着率は低くなる (表2)。 また、貯蔵中、定期的に散水処理(約1回/週)を施さない苗は乾燥して枯死する。
- 殺菌剤を処理しない苗は40日頃からカビが発生し、
活着率がしだいに低下する。殺菌剤処理苗はカビの発生がほとんどなく、 活着率は無処理に比べて高くなる (図1)。
- 水耕苗と慣行の土付苗とで貯蔵性を比較した結果、
葉齢・乾物重の変化は同様の傾向を示したが、活着率は水耕苗が低くなり、 水耕苗は土付苗に比べて貯蔵性が劣ると考えられている (表3)。
- 水耕苗の最適貯蔵条件をまとめると、8度Cで、
貯蔵する直前にカビの発生を防止するための殺菌処理を行い、 貯蔵中は照明と乾燥防止のための散水処理を行う必要がある。 (図2)。 これにより40日60%以上の活着率が得られる。
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成果の活用面・留意点 |
- 貯蔵技術は慣行の土付苗にも適用可能で、
苗を長期貯蔵することにより育苗期間を長くすることが可能となり、 育苗作業が分散され、労力の集中が緩和される。
- 水耕苗は水耕養液または真水に浸して貯蔵するため、
湛水可能な専用の苗箱が必要である。また、照明や散水処理に適した苗箱 収納棚(苗箱の上下間隔20cm程度)を要する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
育苗
乾燥
規模拡大
省力化
水稲
長期保存・貯蔵
保存・貯蔵
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