タイトル |
平成9年春蚕期に異常発生したカイコノウジバエによる蚕繭被害 |
担当機関 |
岩手県農業研究センタ― |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
平成9年春蚕期の一関市、花泉町で異常発生したカイコノウジバエによる蚕繭被害量は、800~1,000kg程度と推定された。蚕繭の被害様相は不結繭蚕、薄皮繭、穴あき繭のほか、営繭後、幼虫期で軟化斃死する個体が多くみられた。平成7年からこの地域で多発していたクワゴマダラヒトリを宿主としてカイコノウジバエが増殖し、生息密度を高めたことによる。
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背景・ねらい |
岩手県では、昭和10年代に大発生したという記録があるものの、近年、 その実害が殆ど問題となっていなかったカイコノウジバエによる蚕繭被害が 平成9年春蚕期に異常発生した。 そこで、カイコノウジバエによる蚕繭被害の実態を調査・解析し、 防止対策等を提示する。
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成果の内容・特徴 |
- 平成9年春蚕期の一関市、花泉町等を中心に異常発生した
カイコノウジバエによる蚕繭の被害量は、800~1,000kgと推定される (表3)。
- 蚕繭の被害様相の被害農家事例(表1)からの調査では、カイコノウジバエ幼虫が繭層を食い破って脱出したため
製糸原料にならない「穴あき繭」のほかに、 カイコノウジバエ幼虫が繭から脱出できず、繭中で化蛹するものが観測された。 また、営繭後、幼虫態で軟化斃死している「死にごも繭」や「薄皮繭」の発生が多い (表2)。
- 春蚕期における異常蛹率が近年急増しており
(表3)、 カイコノウジバエによる蚕繭被害が異常発生した理由は、次のとおり考察できる。 すなわち、平成7年から9年にかけて桑園害虫クワゴマダラヒトリ等が一関市、 花泉町等で多発した。遊休桑園の増加、桑園害虫防除の不徹底等が重なり、 宿主害虫の密度が増加し、カイコノウジバエがこれら害虫を宿主として異常発生した (表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 当該地域では桑園害虫クワゴマダラヒトリが平成9年秋期にも発生し、
越冬幼虫が多いことから、 平成10年もカイコノウジバエによる蚕繭被害が懸念されるので、 隣接する藤沢町、大東町を含めた両磐、胆江地域では 上記の防除対策の周知徹底を図る。
- カイコノウジバエの防除対策として、
(1)発生源となる桑園害虫クワゴマダラヒトリ等の駆除、 (2)桑葉に産みつけられたカイコノウジバエ卵の殺虫剤散布による駆除、 (3)収繭前後における蚕繭のくん煙殺虫剤の処理等がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
カイコ
害虫
桑
防除
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