タイトル |
黒毛和種子牛の親子分離飼養による育成技術 |
担当機関 |
宮城県畜産試験場 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
黒毛和種子牛の親子分離飼養での効率的で省力的な育成技術について検討したところ、すべての試験区で対照とした同居区と同等の発育を示し、特に群飼乾燥区が良好だった。分離飼養と同居飼養での91日間の累積授乳量に差はなかったが、1日当たり授乳量は母牛を放牧していた分離飼養の方が緩やかに推移した。
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背景・ねらい |
親子分離・早期離乳はその効果が認められているものの、離乳ショックによる 発育の停滞や濃厚飼料の早期食い込みに個体差があり、生産子牛の斉一性を 欠くなど、飼養方式によっては満足な発育成績が得られない。そこで、屋外での 親子分離の飼養方式を検討し、対照とした同居舎飼い子牛と同等の発育となる ような効率的で省力的な黒毛和種子牛の育成技術と、データの少ない黒毛和種の 授乳量について調査検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 飼養方法
- 処理区分:試験区としては、4頭群飼で乾草を給与する「群飼乾草区」、4頭群飼で
子牛専用草地へ放牧する「群飼生草区」、カーフハッチで単飼して乾草を給与する 「ハッチ乾草区」の3区を設け、親牛と同居舎飼い飼養するものを「対照区」 とした。 試験区は、離乳後6ヶ月齢まで専用草地での放牧とし、対照区は舎飼いとした。
- 分離施設:試験区の親子分離施設は、足場パイプとセルフロックスタンチョンを
組み合わせたものを利用し、放牧している母牛を濃厚飼料で誘導して、朝夕2回 子牛への柵越し授乳を行った。
- 馴致:分娩後2週齢位から親子分離・柵越し授乳を馴致した。
- 濃厚飼料給与方法:親子分離によるストレス緩和や濃厚飼料への早期食いつきを
促すため、哺乳期間の濃厚飼料給与に吸い口付き給餌器を用いた。
- 離乳:試験区、対照区とも、3ヶ月齢での早期離乳とした。
- 親子分離管理の効果
- 濃厚飼料摂取:群飼乾燥草区とハッチ乾草区が対照区と比べて濃厚飼料への
食いつきが早かった(図1)。
- 離乳前後の行動:群飼区で離乳後の1回当たりの横臥休息時間や摂食時間が
ハッチ乾草区や対照区に比べ長く(表1)、 離乳時のストレスが緩和されているものと思われた。
- 子牛の発育成績:性、出生季節、母牛産次等について補正した子牛の発育成績では
統計的な有意差はなかったが全期間を通して群飼乾草区が良好に推移した (表2)。
- 飼養形態別の授乳量(図2)
体重差法で測定した91日間の累積授乳量は、分離飼養が450.3kg(平均産次2.8)、 同居飼養が391.2kg(平均産次2.7)だった。飼養形態による乳量に有意さはなかった が、1日当たり授乳量は親牛を放牧していた分離飼養の方が緩やかに下降した。
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成果の活用面・留意点 |
- 活用面
公共牧場や裏山等で黒毛和種繁殖経営を行う際、活用できる。
- 特に留意すべき事項
3ヶ月齢での早期離乳とするが、離乳時体重は90kg以上を目標とし、それ未満の個体 や哺乳期用濃厚飼料の摂取が1kg/日未満の個体は避けるべきである。 群飼を行うため衛生管理を徹底し、特に避陰舎内の牛床は乾燥して清潔に 保つように留意する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
乾燥
経営管理
繁殖性改善
フロックス
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