タイトル |
良質良食味と耐冷性を兼ね備えた早生水稲新品種「岩南16号」の育成 |
担当機関 |
岩手県農業研究センター |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
小田中浩哉
佐藤喬
荻内謙吾
尾形茂
高橋正樹
木内豊
扇良明
菅原浩視
中村英明
中西商量
中野央子
照井儀明
神山芳典
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発行年度 |
2000 |
要約 |
水稲「岩南16号」は、「たかねみのり」熟期の早生の粳種で、耐冷性が強い良質良食味系統である。岩手県の中山間地帯および県北部での安定生産と、岩手県産米の品質と食味の向上を図るため、岩手県で奨励品種に採用した。
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背景・ねらい |
岩手県の中山間地帯および県北部の早生の主力品種は、「たかねみのり」であるが、「たかねみのり」は食味が不十分なため、良食味であるが中生の「あきたこまち」の適地外での作付けが増加傾向にある。適地適作による品質・食味の向上を図るため、「たかねみのり」並熟期で、品質と食味に優れた品種が要望されている。
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成果の内容・特徴 |
- 水稲「岩南16号」は、平成3年に旧岩手県立農業試験場県南分場において、「ひとめぼれ」を母とし、「東北141号」(後のこころまち)を父として交配し、その後代より育成した系統である。
- 出穂期・成熟期は「たかねみのり」並~やや遅く、岩手県の熟期区分では“早生の中”である。
- 稈長は「たかねみのり」よりやや長く、「あきたこまち」に比べやや短い。穂長は「たかねみのり」、「あきたこまち」よりやや長く、穂数は「たかねみのり」、「あきたこまち」よりやや多い。草型は“偏穂数型”である。
- 耐倒伏性は、「たかねみのり」よりやや弱く、「あきたこまち」よりやや強い“中”。芒の多少と長短は、“やや少・やや短”であり、「たかねみのり」、「あきたこまち」に比べて多く、長い。
- いもち病真性抵抗性遺伝子型は“+”と推定され、圃場抵抗性は葉いもちは“中”、穂いもちは“強”、障害型耐冷性は「たかねみのり」より強く“極強”、穂発芽性は“やや難”である。
- 収量性は「たかねみのり」、「あきたこまち」にやや優り、玄米千粒重は「たかねみのり」並~やや軽く、「あきたこまち」に比べやや重い。
- 玄米の外観品質は「たかねみのり」、「あきたこまち」にやや優る「上中」。
- 食味は「たかねみのり」より明らかに優り、「あきたこまち」並の「上下」。
表1.岩南16号の特性一覧表
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成果の活用面・留意点 |
- 岩手県では早生の粳米として奨励品種に採用され、普及見込み面積は3000~4000haである。
- 耐倒伏性が「たかねみのり」に比べてやや劣るので、極端な多肥栽培は行わない。
- 葉いもちの圃場抵抗性は「たかねみのり」に比べやや劣るので、葉いもち、穂いもちともに発病に留意し、適期防除に努める。
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図表1 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
新品種
水稲
中山間地域
抵抗性
抵抗性遺伝子
品種
防除
良食味
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