もちの硬化性とアミロペクチン構造の関連

タイトル もちの硬化性とアミロペクチン構造の関連
担当機関 (東北農業研究センター
研究期間 2000~2000
研究担当者 岡本和之(茨城農総セ)
小林和幸(新潟農総試)
梅本貴之(農研セ)
発行年度 2000
要約 もちの硬化性の(大きな)品種間差はでんぷんのアミロペクチン構造と関連を示し、硬化性の高い系統ではアミロペクチン鎖長の短鎖が少なく、中鎖が多い。鎖長分布の違いは4Mの尿素溶液を用いた糊化特性で判別が可能である。
背景・ねらい もち米菓の生産では、もち生地を裁断できる硬さになるまで待つ工程がもっとも時間を要するため、もち硬化性は加工適性に関わる重要な要因とされている。これまでにもちの硬化が極めて速い「陸稲関東糯172号」が、熱帯ジャポニカ系統を父本として育成されている(岡本・根本1998)。一方でジャポニカ、インディカ品種間のアミロペクチン鎖長分布の違いは、アルカリ崩壊性遺伝子(alk)座近傍で制御されており、4M尿素溶液に対する胚乳でんぷんの糊化性も同じ染色体領域で制御されている(Umemoto et al.1999,平11成果情報、Umemoto et al.投稿中)。糯米でんぷんはアミロペクチンのみからなるため、このアミロペクチン鎖長分布の違いが、もち硬化性の違いに関与していることが考えられる。そこで、もち硬化性と米でんぷんのアミロペクチン構造の関連を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 硬化性の高い「陸稲関東糯172号」のアミロペクチン鎖長分布は「マンゲツモチ」や「日本晴」に見られる鎖長分布(日本晴型:平11成果情報)とは異なり、短鎖(重合度6~11)が少なく中鎖(同12~23)が多いインディカ品種に多くみられる鎖長分布パターン(Kasalath型)を示す(図1)。
     
  2. 4M尿素溶液に対する胚乳デンプンの糊化性は、Kasalath型の鎖長分布を示す「陸稲関東糯172号」で低く、日本晴型鎖長分布の「マンゲツモチ」で高い(図2)。また両系統の交配後代のF4各個体に登熟するF5種子30粒について、同じ粒の半粒ずつを用いて調べた尿素糊化性の難易とアミロペクチン鎖長分布のタイプはすべて対応しており(データ略)、鎖長分布の違いは尿素糊化性によって判定できる。
     
  3. 4M尿素溶液に対する糊化性により、いずれのF5種子も糊化し難いF4個体(Kasalath型ホモ)、いずれのF5種子も糊化し易いF4個体(日本晴型ホモ)、分離した個体(ヘテロ)を判別できる(図2)。
     
  4. アミロペクチン鎖長に関してKasalath型ホモのF4個体に登熟するF5種子から作った団子は、日本晴型ホモの個体に由来する団子と比べて明らかに硬化性が高く、ヘテロ個体に由来する団子は両者の中間の硬化性を示す(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 4M尿素溶液によるアミロペクチン構造の判定は簡便であり、玄米半粒でも行えることから、硬化性の異なる糯系統の選抜に利用可能である。
図表1 231590-1.jpg
図表2 231590-2.jpg
図表3 231590-3.jpg
カテゴリ 加工適性 品種 陸稲

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