リンゴ早生品種「きおう」の高鮮度保持技術

タイトル リンゴ早生品種「きおう」の高鮮度保持技術
担当機関 岩手県農業研究センター
研究期間 2000~2000
研究担当者 平渕英利
発行年度 2000
要約 リンゴ早生品種「きおう」は、MA包装(ポリエチレンフィルム内張)段ボール箱を使用した場合、強制通風式貯蔵(2~10℃)で3週間、常温(20℃)で2週間の高鮮度保持が可能である。冷温高湿貯蔵(-1℃/95%R.H.以上)では普通段ボール箱で6週間の高鮮度保持が可能である。
背景・ねらい リンゴ早生品種は、収穫及び流通中の温度が時期的に高いこともあり、鮮度保持が難しい。岩手県が育成したオリジナルリンゴ早生品種「きおう」について、評価向上と消費拡大を図るため、鮮度保持資材等を用いた高鮮度保持技術について検討した。
成果の内容・特徴
  1. 普通段ボール箱による強制通風貯蔵では、2℃で20日後に硬度12.8ポンド、10℃では21日後に減量率3.0%、20℃では7日後に硬度が12.3ポンドに達する。これらのことから高鮮度保持期間は、2~10℃の場合2週間、20℃では不適である(表2,3)。
     
  2. MA段ボール箱による強制通風貯蔵では、2℃で31日後に硬度12.7ポンド、酸含量70%、10℃では31日後に滴定酸74%、20℃では21日後に硬度12.9ポンド、酸含量68%まで低下する。このため高鮮度保持期間は2~10℃で3週間、20℃で2週間と判断される(表2,3)。 
      
  3. 冷温高湿貯蔵では、普通段ボール箱でも43日間高い鮮度を保持する(表1)。
      
  4. 以上の結果より、リンゴ早生品種「きおう」の高鮮度保持条件は表4のとおりである。
成果の活用面・留意点
     
  1. MA(Modified Atmosphere)包装段ボール箱は、密閉することによりMA効果を得る機能性段ボール箱である。したがって、箱の気密性保持に留意する。また、MA包装段ボール箱の価格は普通段ボール箱の29~44%(37~57円)増程度である。
  2. 冷温高湿貯蔵庫は、庫内の温度安定性が極めて高いため(±0.5℃以内)、-1℃貯蔵が可能であり、相対湿度はほぼ98%以上を維持できる。
  3. 冷温高湿庫における貯蔵可能日数は、43日間の試験終了時においても良好な品質を保持しており、さらに長期の保存が可能であると考えられる。
  4. 貯蔵に用いる果実は、早期収穫する必要は特になく、収穫適期(14ポンド程度)のものでよい。ただし、適期から遅れた果実(きおう用地色カラーチャートによる表面色指数3.0以上)は貯蔵には向かないので留意する。
図表1 231645-1.jpg
図表2 231645-2.jpg
図表3 231645-3.jpg
図表4 231645-4.jpg
カテゴリ カラー 機能性 消費拡大 鮮度保持技術 品種 りんご

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