タイトル |
生協を通じた減農薬野菜流通の動向 |
担当機関 |
東北農業試験場 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
松久 勉
野中章久
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発行年度 |
2000 |
要約 |
都市部における減農薬野菜の主要な流通経路である生協は、現在個別配達により組合員を急速に拡大している。個別配達組合員は共同購入組合員よりも青果物の規格・荷姿に関するクレームの発生が多く、将来的に減農薬野菜の規格・荷姿を慣行栽培野菜に近づける努力が求められる。
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背景・ねらい |
産地間競争が強まる中では、減農薬栽培野菜等の差別化戦略が有効となる。減農薬栽培野菜は生協を中心的な流通経路としてきたが、現在都市部の生協では個別配達の導入を契機として急速な事業拡大がみられる。この生協の拡大は減農薬栽培野菜の流通拡大に直結する動向であるにも関わらず、実態的に把握されていない。
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成果の内容・特徴 |
- 減農薬野菜流通の中核を担う生協では、個別配達による販売が急速に拡大しつつある。調査対象とした生協(東京、扱う青果物はほぼ全て減農薬栽培)では、過去5年間に組合員数、総供給高とも個別配達の拡大によって急速に拡大している(表1)。個別配達は個人宅への配達という利便性とともに、安全な食品が欲しいという消費者を組合員として獲得している(表2)。減農薬栽培野菜は慣行栽培野菜よりも良いという一般的な意識が消費者にある(表3)ことから、個別配達による生協事業の拡大は、今後も継続すると考えられる。
- 生協における共同購入では、班活動を通じて商品が供給されるため、新しく加入した組合員に減農薬栽培野菜には虫食いや不揃いはある程度仕方がないことを教える機能がある。このため共同購入では規格・荷姿に対して寛容な態度がとられて来たと考えられる。一方個別配達組合員の新規加入者は、従来生協を利用していなかったため、減農薬栽培野菜の規格・荷姿に不慣れである。このため個別配達における規格・荷姿に関するクレームが多い(表4)。この傾向は個別配達では班活動による教育機能が無いために、将来的に続くと考えられる。
- 調査対象とした生協のみならず、個別配達は全国の生協に普及しつつある。個別配達による生協事業の拡大に伴い減農薬栽培野菜の流通量は拡大することが予測される。一方で生産者にはその規格・荷姿を慣行栽培野菜に近づけることが求められる。
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成果の活用面・留意点 |
- 生協の青果物流通の最近の特徴を捉えた情報として活用できる。
- 個別配達を前提とした、生協の新しい組合員教育の在り方については別途明らかにしなければならない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
農薬
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