タイトル | 北東北地域におけるフェストロリウムの飼料栄養特性 |
---|---|
担当機関 | (独)農業技術研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 | 1998~2000 |
研究担当者 |
近藤恒夫 村井勝 田中治 嶝野英子 |
発行年度 | 2001 |
要約 | フェストロリウム(市販品種:エバーグリーン)の可消化養分総量(TDN含量)は開花期に至っても65%前後と高い値を維持している。また、可溶性炭水化物含量は開花期まで13~17%と高い値を維持し、繊維成分(ADF含量)の生育ステージの進行に伴う増加割合も小さい。 |
背景・ねらい | 東北地域は牧草の収穫・調製時期に天候が不順な場合が多いため、良質で安定的は粗飼料生産のためには刈り取り適期幅の広い草種の栽培が望まれている。また昨今、水田転作地の活用推進も大きな問題となっている。現在の東北地域の主幹草種であるオーチャードグラスは耐湿性が劣り、出穂期以降の栄養価の低下が著しい。そこで東北地域の新しい粗飼料資源として、耐湿性に富む属間雑種フェストロリウムの導入を考え、その寒冷地における生育および栄養成分特性を解明し、北東北地域におけるフェストロリウムの採草利用可能性を検討した。 |
成果の内容・特徴 | 1. フェストロリウム(エバーグリーン)の、めん羊を用いた消化試験(1991~1999年)でのTDN含量は開花期において65%前後であり、オーチャードグラス(キタミドリ)の開花期における値より高い。(図1)。 2. フェストロリウム(エバーグリーン)の出穂期は6月上旬で、オーチャードグラス(キタミドリ)に比べ約2週間程度遅く、北東北地域の平坦地において、収穫調製適期は重ならない。 3. フェストロリウム(エバーグリーン)の可溶性炭水化物含量は節間伸長期から開花期まで17%から13%の間で推移し、良質サイレージの調製に必要な水準である10%を十分に満たしている。(図2) 4. 生育ステージの進行に伴うADF含量の増加はオーチャードグラス(キタミドリ)に比べて小さい。(図3) 5. 利用4年間におけるフェストロリウム(エバーグリーン)の収量は経年利用しているオーチャードグラス(キタミドリ)の収量と変わらない。(図4) |
成果の活用面・留意点 | 1. フェストロリウム(エバーグリーン)は開花期においても栄養価が高いため、刈り取り適期幅が広く、天候、作業効率等を考慮した収穫調製が可能である。 2. 利用4年目までは集約的な管理によりオーチャードグラス(キタミドリ)と遜色ない収量を維持する。 3. フェストロリウムは品種間変異が大きいため、エバーグリーン以外の品種についても飼料栄養特性の評価を行う必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 水田 耐湿性 羊 品種 |