タイトル | 無農薬米栽培に取り組む大規模水田作経営への稲麦大豆2年3作導入効果 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 | 1999~2001 |
研究担当者 |
角田 毅 金岡正樹 折登一隆 長谷川啓哉 |
発行年度 | 2001 |
要約 | 米価下落への対応策として無農薬米栽培に取り組む大規模水田作経営に立毛間播種技術を導入することにより、稲麦大豆2年3作の作付拡大と無農薬米の作付維持が可能となり、一層の所得向上がはかられる。 |
キーワード | 大規模水田作経営、無農薬米、稲麦大豆2年3作、立毛間播種技術 |
背景・ねらい | 近年東北地域では10haを越す大規模水田作経営が急速に増加しているが、こうした経営にとって昨今の米価下落や生産調整強化の影響は極めて大きく、与件変化に対応した経営を早急に確立していく必要がある。そこで,水稲部門と転作部門の双方で高収益化を目指す大規模水田作経営を対象に、東北農業研究センターで開発した立毛間播種技術を用いた稲麦大豆2年3作の導入効果を明らかにした。 |
成果の内容・特徴 | 1. 北東北日本海側に位置する大規模水田作経営(表1)では、水稲部門では価格の高い(慣行米に3,500円/60kgのプレミアム)無農薬米栽培(殺虫剤,殺菌剤,除草剤を使用せず機械・手取り除草)、転作部門では水稲後に小麦-大豆作を導入し、高収益化を目指している。 2. しかし,無農薬米は労働集約的(除草に10時間/10a程度必要等)であるためその作付可能面積には限界がある。また北東北に位置する秋田県では小麦の収穫適期が7月上~下旬、大豆播種適期が5月下~6月上旬であるため、通常の栽培方法では稲麦大豆2年3作は非常に困難である。そのため7月上旬の小麦収穫終了直後に大豆の耕起・播種を行っているが、厳しい作業競合,大豆播種時期の遅延等の問題に直面している。 3. 数理計画モデル分析結果によると、通常技術により小麦-大豆を作付ける場合(ケース1),現状規模(16ha)における小麦-大豆の作付は2.9haが限界であり、転作面積(5.6ha)をこなすためには大豆単作も併用する必要がある(図1-a)。 4. 立毛間播種技術を導入した場合(ケース2)、作業競合の緩和及び大豆播種時期の早期化が可能となり(表2)、現状規模での転作は小麦-大豆だけで対応可能となる(図1-b)。この場合、小麦-大豆の作付面積拡大,転作助成金(1年2作型)の付加等により、所得はケース1より約100万円上回る(図2)。 5. さらにケース1では,規模が大きくなるにしたがい無農薬米の栽培可能面積は小さくなる(図1-a)。これに対してケース2では作期分散等の効果により小麦-大豆の面積を約6.5ha、無農薬米の栽培面積も4ha程度に維持でき(図1-b)、さらに高い所得の実現が可能となる(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 寒冷地域において水稲・転作両部門で集約化による収益増大を目指す大規模水田作経営の経営改善に活用できる。 2. 立毛間播種機の概要については,平成9年度成果情報「ハイクリアランス型立毛間播種機による小麦・大豆の播種技術」、また北東北太平洋側地域への導入効果については平成10年度成果情報「小麦・大豆立毛間播種技術体系の小麦栽培経営への適用と経営的効果」等を参照のこと。 3. 分析にはFAPS2000 Ver.3.9(降雨による作業リスクを考慮)を使用し、水田農業確立対策への参加を前提としている。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 経営管理 小麦 除草 除草剤 水田 水稲 大豆 なす 農薬 播種 |