タイトル | 水溶性褐変物質はルーメン内微生物の増殖を活性化する |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 | 1997~2001 |
研究担当者 |
嶝野英子 近藤恒夫 田中治 村井勝 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 牧草から抽出した水溶性褐変物質はin vitro培養したルーメン液中のアンモニア態窒素濃度の上昇を抑制する。また液体培養液中のガス生成量,および蛋白質量も増加させることから,水溶性褐変物質はルーメン内微生物の増殖を活性化する。 |
キーワード | 動物栄養,牧草類,水溶性褐変物質,ルーメン微生物,微生物増殖活性 |
背景・ねらい | 飼料調製時に起こる栄養価ロスの一因として褐変物質の生成があげられる。しかしこの褐変物質の中でも水溶性の褐変物質については,近年,抗酸化作用や大腸微生物の増殖能に影響を及ぼすなど様々な生理機能を持つことが報告されている。そこで飼料中に生成される水溶性褐変物質のルーメン内蛋白質分解およびルーメン微生物に対する生理機能を明らかにするために,飼料から抽出した水溶性褐変物質がin vitro培養したルーメン液中のアンモニア態窒素濃度,ガス生成量及び蛋白質量に及ぼす影響を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 加熱処理した牧草から抽出した水溶性褐変物質を牛ルーメン液と人工唾液を混合した培養液に添加しin vitro培養すると,無添加に比べ培養液中のアンモニア態窒素濃度の上昇を抑制する。(図1)。 2. ロールベールサイレージから抽出した水溶性褐変物質も人工的に加熱した牧草から抽出した水溶性褐変物質と同様に,培養液中のアンモニア態窒素濃度の上昇を抑制する(図2)。 3. アンモニア態窒素濃度低下の要因を解明するためにMedium10培地に牛ルーメン液と水溶性褐変物質を添加し,液体培養を行った。その結果、pHは水溶性褐変物質の添加による影響は認められないが,ガス生成量は添加量が増えるに従って増加する(表1)。 4. 液体培養液中の蛋白質量は,水溶性褐変物質の添加量が増えるに従って増加する(図3)。 5. 以上のことは,飼料由来の水溶性褐変物質が単なる難分解性の物質であるだけではなく,ルーメン内の微生物の増殖を活性化することを示している。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 褐変化飼料を給与された反芻家畜の蛋白質代謝を評価する上での基礎知見となる。 2. 褐変化飼料の栄養価をより精密に評価するためには,非水溶性褐変物質の分離・同定法の確立が必要である。 3. 水溶性褐変物質の定義・抽出法については畜産草地研究成果情報(No.1)p195-196[98.逆相カラムを用いてサイレージから水溶性の褐変物質が抽出できる]を参照のこと。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
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