タイトル | コロニーPCRによるリンゴ根頭がんしゅ病菌の診断法の開発 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 果樹研究所 |
研究期間 | 2002~2006 |
研究担当者 |
吉田幸二 須崎浩一 澤田宏之(農環研) |
発行年度 | 2002 |
要約 | 病原性アグロバクテリウム菌の検出が可能なPCR用プライマーを新たに設計し、コロニーPCR法による病原性菌株の特異的検出法を開発した。本法により、リンゴ根頭がんしゅ病菌の簡易診断が可能である。 |
キーワード | リンゴ、根頭がんしゅ病菌、プライマー、コロニーPCR |
背景・ねらい | 近年、リンゴ栽培の省力化、軽労化に向けて低樹高のわい化栽培が推進されている。これらの推進に際しては、大量の苗木供給が不可欠であるが、緊急に苗木生産を実施する中で、生産地の苗木生産現場においてリンゴ根頭がんしゅ病が多発生して一般農家への苗木供給が阻害され、わい化事業の推進が懸念されている。そこで、健全苗木供給のために、リンゴ根頭がんしゅ病菌の簡易な診断技術を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. TiプラスミドおよびRiプラスミドのvirC領域上に位置する診断用のプライマー組(VCF3:5'-GGCGGGCGYGCYGAAAGRAARACYT-3'、VCR3:5'-AAGAACGYGGNATGTT GCATCTYAC-3')を設計した。 2. 各種植物等から分離されたAgrobacterium属菌のうち、biovarが異なり、Tiプラスミド、Riプラスミドのいずれかを有する9菌株及び非病原性の1菌株を用いて、本プライマー組(VCF3、VCR3)あるいは従来のPCRプライマー組(VCF、VCR:澤田(1995)ら)を用いコロニーPCRを行ったところ、本プライマー組においてコロニーPCRによる病原性菌株の検出が可能であった(図1)。電気泳動により、これらはサイズが414bpのバンドとして検出される(図1)。 3. 岩手県及び青森県のリンゴ根頭がんしゅ病罹病樹から分離した29菌株を用いて、コロニーPCRを行っところ、トマトに病原性の認められた18菌株を特異的に検出できた(図2)。 4. PCR 用Taq ポリメラーゼ酵素として、主にAmpliTaq Gold(Applied Biosystems)を用いたが、HotStar Taq(QIAGEN)、Ex Taq(TaKaRa)のいずれを用いた場合も同程度の検出感度である。 5. 上記のプライマー開発により、菌株よりDNA抽出を行うことなく、コロニーPCR法により、リンゴ根頭がんしゅ病菌を簡易診断することが可能である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 平板培地での菌株培養後、少なくとも2~28日間、コロニーPCR法による病原菌株の診断が可能である。 2. PCRの増幅サイクル数は35回以上とすることで安定したバンドとして電気泳動で検出することができる。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | 簡易診断 軽労化 省力化 診断技術 低樹高 トマト 苗木生産 りんご わい化 |