タイトル | 秋播性小麦の冬期播種栽培における収量・品質安定化技術 |
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担当機関 | 岩手農研セ |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
荻内謙吾 高橋昭喜 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 秋播性小麦の冬期播種栽培では、播種量は10~15 kg/10a、窒素施肥は8~10 kg/10aを播種同時側条施用する。側条施肥により収量・品質が向上し、雑草の抑草も可能である。加工特性は秋播慣行並を確保できる。 |
キーワード | 秋播性、コムギ、冬期播種、側条施肥 |
背景・ねらい | 岩手県では、小麦は主要な水田転作作物としてきわめて重要な地位を占めているが、通常の秋播き栽培では播種作業が水稲や大豆の収穫作業と競合すること等が経営上の課題となっている。この対応策として本県では、秋播性小麦を根雪直前に播種し、越冬後から生育を開始させる冬期播種栽培技術を開発したが、施肥法、品質向上、加工特性、除草法等の課題が残されていた。そこで、冬期播種栽培技術の普及拡大をねらいにこれらの課題解決のための栽培法について検討し、収量・品質安定化技術としてとりまとめた。 |
成果の内容・特徴 | 1. 秋播性小麦の冬期播種栽培では、収量・品質向上のため施肥法は播種時側条施肥とし、窒素成分で8~10 kg/10aを基肥として施用する。播種時側条施肥により子実蛋白含量を確保しつつ、収量を高めることができる。また、融雪期に表面施肥する場合よりも遅発分げつの発生が抑えられることから、開溝未熟粒が減少し品質が向上する(図1、図2)。 2. 播種量は10~15 kg/10a程度とし、12月の根雪前に播種する。播種量が多いほど収量が高く、遅発分げつの発生も少なくなるが、播種量15 kg/10aを越えると増収効果はみられなくなる(図3)。 3. 除草剤は、雑草発生始期に広葉雑草対象の茎葉処理剤を散布(小麦生育期処理)する。播種時側条施肥との組み合わせによる耕種的防除の実施により、初期生育が促進され、イネ科雑草についても抑草できる(表1)。 4. 冬期播種栽培の融雪期表面施肥では、秋播慣行と比べ製粉性は同等であるが、蛋白含量が高く、茹麺官能評価では麺色が低下する。播種時側条施肥により蛋白の増加や麺色の低下が抑えられ、製粉性が良く、茹麺官能評価の合計点は秋播慣行並みを確保できる(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 供試土壌は黒ボク土、供試品種は「ナンブコムギ」であるが、他の秋播性品種でも利用可能である。 2. 出芽率向上のため排水対策は必ず実施し、特に初年目転換畑では耕起を数回行い砕土率を高める。また、冬雑草抑制のため、最終の耕起から播種までの期間をあけすぎないよう留意する。 3. 根雪前の播種時施肥でも、越冬後の土壌中無機態窒素はアンモニア態窒素が主体であり、硝酸態窒素はごくわずかで下層への溶脱も認められない(図2)。 |
カテゴリ | 病害虫 加工特性 経営管理 小麦 栽培技術 雑草 除草 除草剤 水田 施肥 大豆 播種 品種 防除 |