タイトル | 農家実態調査に基づく水稲移植前落水時の水質汚濁負荷量の推定と低減方策 |
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担当機関 | 秋田農試 |
研究期間 | 1999~2003 |
研究担当者 |
原田久富美 太田健 村上章 進藤勇人 小林ひとみ 藤井芳一 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 八郎潟干拓地内の農家水田の調査から、移植直前の落水により水田から発生する窒素排出量は33.4Mgと推定され、不耕起、無代かき栽培を導入することにより8~9割、代かき栽培の場合でも移植前落水時の水深を60mm以下にすることにより6割低減できる。 |
キーワード | 不耕起、無代かき、代かき、水質、窒素、懸濁物質、全有機態炭素 |
背景・ねらい | 閉鎖水系水田地帯においては水田からの水質汚濁物質排出量の抑制が求められる。水田からの水質汚濁物質の排出は、主に水稲移植直前の落水に伴って発生することが指摘されている。そこで、八郎潟干拓地内に位置する農家圃場において移植前落水の実態調査を行い、水田からの水質汚濁物質の排出量を推定するとともに、不耕起、無代かき、落水量の抑制を導入した場合の水質汚濁物質排出量の低減効果を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 移植前落水時に排出される全窒素(T-N)量は0(落水なし)~47.3kg/haである。落水がある場合、T-N排出量の対数値ヒストグラムは、カイ2乗適合度検定により正規分布に適合する(図1、p<0.05)。 2. 落水時の水深とT-N排出量の対数値には正の相関関係が認められ、落水時の水量をできるだけ小さくすることがT-N排出量を抑制することにつながる(図2)。このことは、T-N以外の懸濁物質(SS)、全有機態炭素(TOC)、全リン(T-P)においてもあてはまる(結果省略)。 3. 代かき水田において、移植前に発生する水質汚濁物質の排出量は土性の影響を受け、HC(粘土含量が45%以上)よりも粘土含量が低い水田ではHCに比べて非常に小さくなる(表1)。また、不耕起、無代かき水田における水質汚濁物質の排出量は代かき栽培の2割以下となり、水質保全効果が実証された。 4. 代かき水田の場合においても、落水時の水深を平均値程度の60mm以下にすることができれば水質汚濁物質の排出量を半分以下に削減できる。 5. 八郎潟干拓地内の水田から移植前の落水に伴って発生するT-N排出量は33.4Mgと試算され、不耕起、無代かき栽培の導入により8~9割、代かき栽培においても水稲移植前落水時の水深を60mm以下にすることにより6割程度削減できる(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 水質汚濁物質の排出量は、農家水田において圃場中央部の水深と圃場面積から算出した排水量と排水開始から一定時間後に採取した排水中の水質汚濁物質を分析して推定した。 2. 調査期間は1999~2003年、調査圃場の基本単位は1.25および2.5ha、調査地点は八郎潟干拓地内で偏りがない。 |
カテゴリ | 水田 水稲 |