タイトル | 黒ボク土壌水田でのベントナイト施用による畦畔漏水防止と水温上昇効果 |
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担当機関 | 青森農林総研 |
研究期間 | 1998~2002 |
研究担当者 |
上村豊和 境谷栄二 工藤予志夫 玉川和長 菊池晴志 三浦嘉浩 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 水田畦畔1m当り8kgのベントナイト施用により、畦畔漏水が減少し、日減水深は50%程度に減少する。このことから、灌漑回数が半減し、平均水温で0.4℃の水温上昇が認められる。また、水管理に要する労働時間は60%程度に低減できる。 |
キーワード | 漏水防止、水田畦畔、ベントナイト、水管理、労働時間、黒ボク土壌 |
背景・ねらい | 寒冷地稲作においては適切な水管理によって水温の上昇を図り、生育促進に努めることが重要であるが、近年、労働力の減少や高齢化の進みにより、十分な管理が難しくなってきている。特に、黒ボク土壌等の漏水の多い水田では、低温時の深水灌漑が掛け流し同然となり、逆に冷水被害を招く恐れが懸念される。そこで、水田畦畔にベントナイトを施用する漏水防止技術を開発し、深水管理時の水温上昇を図る。 |
成果の内容・特徴 | 1. 畦畔浸透水量は、畦畔1m当りのベントナイト施用量が多いほど減少するが、8kg/m以上では大差ない(図1)。 2. ベントナイトを施用した畦畔の漏水防止効果は4年間以上持続する(表1)。 3. ベントナイトの施用により、畦畔浸透水量は無施用の20%程度に低下し、日減水深は50%程度に減少する(表2)。これにより、灌漑回数は半減し、平均水温で0.4℃、平均地温で0.6℃の温度上昇が認められた(表3)。 4. 水管理に要する労働時間は無施用の60%程度に削減される(表4)。 5. ベントナイトの施用及び畦塗りは、次のようにして行う。 (1) 畦塗機の畦畔成形装置が畦畔に当たらないように走行しながら、畦畔法面をロータリー刃で崩す。 (2) 畦畔の崩壊面にベントナイトを均一に散布し、その後畦塗機で成形する。 (3) 次年度以降は、畦塗機による畦畔成形のみ行う。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本情報は黒ボク土壌水田(厚層多腐植質黒ボク土壌)での試験結果によるものである。 2. 畦畔からの漏水が防止できることにより、水温・地温が上昇し、水稲の生育促進と冷害軽減が図られる。 3. 過湿状態での畦塗りは、畦塗機の畦畔成形装置に粘土化したベントナイトが付着し、成形した畦畔表面が崩れることがあるので行わない。 4. 畦畔浸透水量は、減水深から降下浸透水量を差し引いて推定した。 |
カテゴリ | 水田 水稲 凍害 水管理 |