タイトル | 遺伝子導入によるリグニン分解酵素高生産スエヒロタケの作成 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
山岸賢治 新本洋士 八巻幸二 木村俊之 鈴木雅博 |
発行年度 | 2003 |
要約 | キノコ菌糸体で強く発現する遺伝子群のプロモーター、ターミネーターを組み込んだ発現ベクターを用い、バイオマス利用、環境浄化に用いうるラッカーゼ高生産スエヒロタケを作成できる。 |
キーワード | スエヒロタケ、遺伝子発現ベクター、ラッカーゼ |
背景・ねらい | 担子菌キノコは、難分解性物質であるリグニンや含塩素系化合物を分解するという、他生物にはない特性をもつ。その特性を更に強化するため、現在キノコの一種(スエヒロタケ)で、任意の遺伝子を強力に発現させるベクターの開発を行っている(H13年度成果情報)。これを用いて、リグニン分解能力を持ち、かつ土壌中のダイオキシンを分解することが知られている有用酵素であるラッカーゼ遺伝子を高発現するスエヒロタケ菌糸体の作成を試みた。この菌糸体を用いれば、イナワラや木質系バイオマスの一次処理による有用物質の生産、ダイオキシンや残留農薬の分解が可能になる。 |
成果の内容・特徴 | 1. スエヒロタケ用遺伝子発現ベクターpSC3-P/T (図1)を用いる。これは、キノコが菌糸体の状態にあるとき最も大量に合成するタンパク質の遺伝子(SC3 ;ハイドロフォービン)のプロモーターとターミネーター領域を持つカセットベクターである。 2. スエヒロタケラッカーゼ遺伝子を、NcoI-XbaI サイトを用いてこのベクターに組み込む。プロトプラスト化したスエヒロタケに、ポリエチレングリコールを用いた方法で遺伝子を導入する。 3. スエヒロタケのラッカーゼ生産量は通常は微量であるが、遺伝子導入によってラッカーゼを強制発現させることにより、ラッカーゼを常時、強く生産するスエヒロタケ菌糸体が得られる(図2) |
成果の活用面・留意点 | 1. 今回利用した遺伝子発現ベクターは、プロモーター部位に改良を加えることによりさらに強力になる可能性がある。 2. ラッカーゼ以外にも、他のリグニン分解酵素等、キノコに特徴的な有用酵素を発現するキノコを作成することが可能である。 3. スエヒロタケは、常圧で蒸気滅菌した土壌で繁茂し、ダイオキシンを分解することが過去に報告されており、本菌株でも、閉鎖系において同様の手法が適用可能と思われる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 農薬 |