タイトル | 細断型ロールベーラ調製を前提とした立毛放置トウモロコシの乾物率の推移 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
河本英憲 魚住 順 出口 新 田中 治 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 飼料用トウモロコシは、完熟期到達時までは収量損失なしに乾物率を上昇させることが可能であるが、絹糸抽出期以降の乾物率上昇速度、細断型ロールベーラでの収穫が可能となる生育ステージ、および到達可能な乾物率は品種により異なる。 |
キーワード | 乾物率、細断型ロールベーラ、サイレージ、飼料利用、トウモロコシ |
背景・ねらい | 細断型ロールベーラを用いたトウモロコシ調製では、ロールベールの個数低減や軽量化が重要な課題となっている。遅刈りして乾物率を上昇させることは、その解決に有効な手段のひとつと考えられるが、長期の立毛放置が乾物率や収量性に及ぼす影響は解明されていない。そこで、東北地域で多収性が確認されている主要3品種を立毛放置し、これらの性状の経時的変化を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 絹糸抽出期以降の乾物率上昇速度は子実、茎葉共に品種により異なる。また、茎葉においては、同一生育ステージの乾物率にも品種間差がみられる。これらの品種間差が複合して、全植物体の乾物率上昇速度および生育ステージ別の乾物率にはさらに大きな品種間差が生じる(図1)。 2. 上記品種間差により、一般的には収穫適期と認識される黄熟期に達していても、細断型ロールベーラでの収穫に適さない25%未満の乾物率に留まる品種や、逆に収穫適期前と認識される糊熟後期でありながら25%以上の乾物率に達する品種がみられる(図1下段)。 3. 乾物率の推移にみられる上記品種間差とは関連なく、いずれの品種も完熟期までは子実の乾物収量は漸増し、茎葉の乾物収量はほぼ維持されるため、完熟期に至る長期の立毛放置によっても乾物収量が大きく損失することはない(図2)。 4. 以上の結果より完熟期到達時までは、乾物収量の損失なしに乾物率を上昇させることが可能であるが、絹糸抽出期から完熟期に到達するまでの期間には250℃程度の品種間差が、また、完熟期までの立毛放置により到達可能な乾物率には10%程度の品種間差がみられる(図1下段)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 細断型ロールベーラ向けの品種選定や作付体系立案の参考となる。 2. 細断型ロールベーラでの調製に最適な乾物率を確定するには、ロールベールの積み重ね耐性や飼料価値への影響を解明しなければならない。 3. 本情報は、病虫害の発生が少ない東北地域(盛岡市)において得られたものである。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 飼料用作物 多収性 とうもろこし 品種 |