穂いもち圃場被害解析を例とした大規模後向きコホート研究,症例対照研究による変動要因の解析

タイトル 穂いもち圃場被害解析を例とした大規模後向きコホート研究,症例対照研究による変動要因の解析
担当機関 古川農試
研究期間 2004~2005
研究担当者 笹原剛志
大場淳司
畑谷みどり
石川志保
小林隆(東北農研)
石黒潔(東北農研)
発行年度 2005
要約 2003年の穂いもち圃場被害度変動要因を,大規模後向きコホート研究,症例対照研究の手法で,数量化Ⅰ類により解析した。その結果,転作復元後年数,基盤整備,葉いもち防除,穂いもち防除,移植時期などが,強く影響を及ぼしていることが判明した。このような手法を用いることにより,様々な要因の相対的な影響を明らかにできる。
キーワード 後向きコホート研究,症例対照研究,研究数量化Ⅰ類,穂いもち
背景・ねらい 2003年の穂いもち多発には圃場間差が認められ,一部の地域では発生程度の異なる圃場がモザイク状に出現した。これらの要因を明らかにするため,リモートセンシングによる穂いもち圃場被害度の評価と栽培履歴などの事後調査を基にした大規模後向きコホート研究の実例として,圃場条件,耕種法,防除法などの11要因を基に,数量化Ⅰ類により解析した。
成果の内容・特徴
  1. 解析には,2003年に実施したリモートセンシングにより評価した762圃場の穂いもち被害度と各圃場の栽培履歴を用いた。
  2. 圃場条件,耕種法,防除法などの11アイテム(表1)を基にした数量化Ⅰ類による解析の結果,重相関係数は低いが(r=0.7035),統計的に0.01%レベルで有意であり,穂いもち圃場場被害度変動要因の約50%が,取り上げた11アイテムで説明可能という結果を得た(表2)。
  3. 偏相関係数が大きいアイテムで,レンジが大きく,基盤整備,転作復元後年数,葉いもち防除,穂いもち防除,移植時期などが,圃場被害度に強く影響を及ぼしている(表2)。
  4. 主なアイテムの結果は以下のとおりである(図1)
    • 基盤整備(X 1)基盤整備実施後の圃場で穂いもちほ場被害度が高い。
    • 転作後年数(X 4)転作復元初年目の圃場で被害度が高く,2年目以降低下する。
    • 移植時期(X 6)県平均の移植時期と比較し,遅い圃場で被害度が低い。
    • 葉いもち防除(X 9)無防除の圃場で圃場被害度が高く,また,箱施用剤に比較し,水面施用剤で防除を実施した圃場で,圃場被害度が高い。
    • 穂いもち防除(X10)予防粒剤未実施圃場で被害度が高く,適期散布,適期外散布で低い。
  5. このような手法を用いることにより,突発的な病害多発時の事後解析でも,様々な要因の相対的な重要度を明らかにできる。
成果の活用面・留意点
  1. 突発的な病害多発時の要因解析の他,発生予察への活用,栽培上,技術上の問題点の抽出などへの利用も可能である。
  2. 栽培履歴,防除履歴については,JAグループ宮城が実施する「生産履歴記帳運動」の栽培履歴簿を閲覧した。
図表1 232412-1.gif
図表2 232412-2.gif
図表3 232412-3.gif
カテゴリ 病害虫 防除 リモートセンシング

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