寒冷地イチゴ夏秋どり栽培に適応する二槽ハンモック方式の気化冷却高設ベンチ

タイトル 寒冷地イチゴ夏秋どり栽培に適応する二槽ハンモック方式の気化冷却高設ベンチ
担当機関 山形県最上総合支庁
研究期間 2003~2007
研究担当者 大木 淳
工藤郁也
高橋 亨
安場健一郎(東北農研)
発行年度 2005
要約 培地槽に透水性資材を用い受水槽に耐水性の透湿性資材を用いる二槽ハンモック式の高設ベンチは、高温期に培地内外の温度が低下し、さらに送風方式とすることで冷却性を高めることが可能で、四季成り性イチゴの夏秋どり栽培で高収量が得られる。
キーワード イチゴ、夏秋どり、培地冷却、高設ベンチ、透湿性資材、気化熱、送風
背景・ねらい 近年、イチゴ栽培では、夏秋栽培でも作業性に優れる高設ベンチの導入が進んでいるが,高温期には、培地温度が上昇しやすく収量や果実品質の低下が課題となっている。これまで、チラーや地下水を利用し培地温を低下させる試みが行われているが、収量の増加を図ることは可能であっても装置コストや地域が限られる点で広範な普及は難しい。そこで、気化冷却を活用した透湿性資材による二槽ハンモック方式の高設ベンチについて検討する。
成果の内容・特徴
  1. 本ベンチは、培地槽に透水性資材を受水槽に耐水性の透湿性資材を用いる二槽ハンモック方式の高設ベンチで、気化熱を利用して培地槽を冷却する(図1)。
  2. 培地温は、1槽のポリエチレンフィルム培地槽に比べ栽培時に1~6度C低下し、とりわけ日中の温度上昇時の抑制効果が高い。また、透湿性資材の下部から1.5 m/s以上の送風を行うことで、さらに培地の温度を1~2度C低下させることができる(図2)。
  3. 透湿性資材周囲の温度は、栽培時で0.5~2度C低下する。また、透湿性資材の下部から送風し、図1の通風口の風速条件を0.8 m/s以上にすることで、さらに夜温を1~2度C低下させることができる(図3)。
  4. 本ベンチによる四季成り性イチゴの夏秋どり栽培は、高温期でも可販果収量が多く市場性に優れる果実の生産が可能で、送風方式を付加することで、さらに増収が期待できる(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 本ベンチで使用した透湿性資材は、スパンボンド不織布で強度加工した多孔質フィルムまたはフラッシュスパン不織布の多孔構造資材で、透湿度はカタログ値で5,000~10,000 g/m2/24hである。本試験では10,000 g/m2/24hの資材を使用し1年間使用可能であった。
  2. 透湿性資材は、素材により耐化学性、耐光性が異なるため、液肥の使用方法や設置方法等に注意する。
  3. 受水槽の余剰水は、給液水より溶存酸素濃度を高く維持することができるが、栽培方法によりEC、pHが上昇する場合は、洗浄や排水等を行う必要がある。
  4. 送風方式では、イチゴ栽培で品種により花房の出蕾が悪くなる場合や果実品質が低下する場合があるため、図1の通風口の風速は3.0 m/s以上にしない。
  5. 本栽培ベンチの装置および手法については特許出願中である。
図表1 232439-1.gif
図表2 232439-2.gif
図表3 232439-3.gif
図表4 232439-4.gif
カテゴリ いちご 加工 コスト 品種

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