リンゴ青かび病菌の産生するシトリニン定量法と収集製品の含量

タイトル リンゴ青かび病菌の産生するシトリニン定量法と収集製品の含量
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2005~2005
研究担当者 渡辺 満
清水 恒 
発行年度 2005
要約 リンゴ青かび病菌を接種した果実ではパツリンとともにシトリニンが産生される場合がある。リンゴジュース中のシトリニンは酢酸エチルによる抽出、蛍光検出器を接続したHPLCにより定量が可能である。2005年度に東北地方で収集した製品(100点)にはパツリン、シトリニンのいずれも検出されなかった。
キーワード リンゴ青かび病菌、シトリニン、パツリン
背景・ねらい
リンゴ青かび病菌(Penicillium expansum)はマイコトキシンのパツリンを産生することが知られており、製品の汚染例が世界各地で報告されている。腐敗した果実からはパツリンとともにシトリニンの検出例が海外で報告されていることから製品が汚染される可能性が指摘されているものの、国内ではこうした調査は行われていない。シトリニンはパツリンと同じくPenicillium属等のカビで産生されるマイコトキシンであり腎毒性を有するが、毒性としては比較的穏やかな化合物に分類されている。そこで本研究では、リンゴ果汁でのシトリニン定量法を確立するとともに、国産リンゴ果実にリンゴ青かび病菌(Penicillium expansum)を接種した場合のシトリニン産生の確認及び収集製品のパツリン及びシトリニン分析を実施する。

成果の内容・特徴 1. シトリニン(図1)標品を25µg/Lとなるように添加したリンゴジュースからはパツリンの抽出溶媒である酢酸エチルによるシトリニンの回収がクロロホルム、クロロホルム+酢酸エチル(2:1)と同様に可能であり(図2)、蛍光検出器(Ex:330nm、Em:500nm)を接続したHPLCにより検出限界:0.2 μg/L(S/N比3)、定量限界:0.6 μg/L(S/N比10)で分析可能である。
2. パツリン産生菌(Penicillium expansum, ATCC No. 36200)の胞子を有傷接種した果実(品種:さんさ、接種後12日目)では、パツリン(1920 µg/L)(図3)とともにシトリニン(46 µg/L)(図4)が検出されるが、パツリンよりも産生量は少ない。
3. 2005年度に東北地域で収集したリンゴジュース製品100点についてパツリン及びシトリニン分析を実施した結果、いずれのマイコトキシンについても検出された製品はなかった。


成果の活用面・留意点
1. Penicillium expansumのシトリニン産生能は用いる菌株で差異があり、必ずパツリンとともにシトリニンの産生が認められるものではない。さんさ12日目のシトリニン含量(46 µg/L)はカビを接種した中で最も産生量の多かった果実から調製した果汁の含量。
2. シトリニンの各種動物に対する急性毒性(LD50)は経口投与の場合、ラット:50、マウス:112、ゴールデンハムスター67、モルモット43 mg/kg体重/日とされている。
3. リンゴジュースは青森県及び岩手県で国産果実を使用した製品を収集した。


図表1 232502-1.gif
図表2 232502-2.gif
図表3 232502-3.gif
図表4 232502-4.gif
カテゴリ 品種 りんご

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