タイトル |
荒廃農地の掃除刈りおよび傾斜地植生管理への無線草刈機の利用 |
担当機関 |
宮城古川農試 |
研究期間 |
2005~2006 |
研究担当者 |
星信幸
澤村篤(畜産草地研)
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発行年度 |
2006 |
要約 |
無線草刈機(AMX7)は、停滞水がなく地耐力のある荒廃農地の掃除刈り、及び傾斜35度程度までの棚田のり面や基幹排水路など傾斜地植生管理に利用できる。
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キーワード |
無線草刈機 荒廃農地 傾斜地管理
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背景・ねらい |
中山間地域など条件不利地における労働は、危険・きつい等から労働負担の軽減や作業の安全性の確保が難しく、深刻な担い手不足や農業労働力の高齢化が進み、荒廃農地が増加している。このような農地の荒廃・耕作放棄等の防止や景観の回復を、安全・快適・容易にするため、河川敷の草刈作業に使用されている無線草刈機(AMX7:旧建設省・クボタ共同開発)の農村での活用について、その適応条件を検証する。
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成果の内容・特徴 |
- 傾斜地用に開発された無線草刈機(AMX7)は、67psエンジン搭載のゴムクローラ型で、作業幅1,850mmの油圧式フレールモアを装着した総重量(燃料満タン時)は2,780kgである。操縦はすべて産業ラジコン用周波数を利用したリモコン操作で、最大除草法面勾配は1:1.2である
- 中山間地一般水田圃場での掃除刈り作業能率は、前後進作業で約3時間/haである。長期休耕による荒廃農地の掃除刈り作業(雑灌木の伐採を除く)では、一般水田圃場の1/2~1/3の作業能率となる。また、中山間地での水田や平地農村における基幹排水路ののり面など、傾斜35度程度までの傾斜地植生管理作業は、一般圃場作業の1/2程度の作業速度で稼働できる(表1、図1)。
- 本機は、傾斜地対応のため最低地上高(200mm)が低く水濡れに弱いエンジン油圧センサー、車速センサーなどがエンジン下部にあることから、矩形板沈下量5cm程度の地耐力が必要で、軟弱な圃場や地表面に停滞水がある作業条件には向かない。(表2)。
- 草刈り作業等として導入した場合、稼働面積20haでの利用コストは15,300円/10a程度である(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本機の効率的な利用のためには、立地条件や運搬及び作業・移動などの作業行程、杭・露石などの障害物についての事前調査が必要である。
- 中山間水田のような急な傾斜変化や、荒廃農地などの作業環境の見えない条件では、近距離での操作が多くなるが、本体より3m以上離れることで騒音85dB(A)以下の操縦環境が得られ、長時間の連続操作も可能である(図表省略)。
- 刈取部が前部に装着されているため、荒廃農地で作業機への抵抗が大きい箇所や、つる性の雑草が多い圃場などでは、後進作業が有効である。
- 本機は、2005年現在、全国で180台(東北53台)稼働している。なお、草刈り作業の他、堆肥散布、施肥、播種等の油圧式作業機の装着も開発中である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
傾斜地
コスト
雑草
植生管理
除草
水田
施肥
中山間地域
播種
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