有機肥料等の緩やかな窒素肥効が水稲の充実花粉数を高く維持する

タイトル 有機肥料等の緩やかな窒素肥効が水稲の充実花粉数を高く維持する
担当機関 宮城古川農試
研究期間 2004~2006
研究担当者 熊谷千冬
浅野真澄
瀧 典明
畑中 篤
齋藤公夫
発行年度 2006
要約 化成肥料の速効的な窒素肥効では施肥量増加に伴って充実花粉数が低下するのに対し,有機肥料や肥効調節型肥料の緩やかな窒素肥効では,施肥量増加によって籾数や減数分裂期の茎葉窒素濃度が増えても高い花粉数が維持される。
キーワード 水稲,有機肥料,窒素肥効,充実花粉数
背景・ねらい 宮城県における平成15年の冷害回避事例には有機栽培実践農家が多く見られたが,水稲の耐冷性に及ぼす有機肥料の効果を科学的に検証した事例は少ない。一方,近年耐冷性の指標として充実花粉数が有効とされ,花粉数が少ないほど障害不稔が生じやすく,また施肥条件によって大きく変動することが報告されている。そこで,本研究では充実花粉数を指標として有機肥料の効果を検討した。
成果の内容・特徴
  1. 化成肥料系列は施肥量が増加し籾数が多くなるほど充実花粉数が減少傾向を示すのに対し,有機肥料系列では籾数が多くなっても充実花粉数はほとんど減少せず,化成肥料を上回る量となる。肥効調節型肥料も有機肥料同様に高い充実花粉数が確保される(図1)。
  2. 減数分裂期頃の茎葉窒素濃度が高いほど障害不稔が生じやすいとされるが,有機肥料系列では窒素濃度が高くなっても充実花粉数はほとんど減少せず,籾数の場合と同様の傾向を示す(図2)。
  3. 有機肥料と肥効調節型肥料で似た傾向を示していることから,緩やかな窒素肥効パターンが高い充実花粉数の確保に寄与していることが推察できる。
成果の活用面・留意点
  1. 有機肥料の基肥窒素量は成分表示に基づいて化成肥料と同量とし,追肥量と追肥時期は現地事例に合わせ,幼穂形成期の1週間前に2gN/平方メートル施用とした。化成肥料の追肥は慣行通り幼穂形成期に1gN/平方メートルとした(表1)。
  2. 供試した有機肥料では施用後緩やかな窒素供給が行われ,8月末頃にかけて窒素成分のほとんどが供給される。肥効調節型肥料も有機肥料と同様に緩やかな窒素肥効パターンを示す(図3)。
  3. 2005年,2006年ともに障害不稔がほとんど発生しない気象条件であり,宮城県の慣行施肥量に近い化51区の精玄米収量は541~621g/平方メートル,有52区で570~574g/平方メートルと宮城県の平均収量並,籾数は「ひとめぼれ」の適正籾数とされる28~30千粒/平方メートルが確保される条件における試験である。
  4. 葯長についても充実花粉数と同じ傾向を示す(データ省略)。
図表1 232572-1.gif
図表2 232572-2.gif
図表3 232572-3.gif
図表4 232572-4.gif
図表5 232572-5.gif
カテゴリ 有機栽培 土づくり 肥料 水稲 施肥 凍害

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