葉いもち病斑発現後の低温が胞子形成能に及ぼす影響

タイトル 葉いもち病斑発現後の低温が胞子形成能に及ぼす影響
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2004~2006
研究担当者 山田真孝
皆川博孝
小林隆
兼松誠司
発行年度 2006
要約 病斑発現後の低温により、平年に比べ、葉いもち病斑は長期間高い胞子形成能を維持する。病斑発現後の15度C以上の有効積算温度と胞子形成能の間には高い相関が認められる
キーワード 水稲、葉いもち、低温、胞子形成、有効積算温度
背景・ねらい 穂いもちの感染源は、上位3葉(葉位N, N-1, N-2葉:Nは止葉)の葉いもち病斑から放出される胞子と考えられている。しかし、2003年のような冷害年には、上位葉に葉いもち病斑が無い圃場でも穂いもちが多発する。冷害年では、下位葉(葉位N-3, N-4葉)に発生した葉いもち病斑が出穂期まで高い胞子形成能を維持することが穂いもち多発要因の1つと考えられる。そこで温度勾配実験施設を利用して、病斑発現後の低温が葉いもち病斑の胞子形成能に及ぼす影響を定量的に評価する。
成果の内容・特徴
  1. いもち病菌をN-3またはN-4葉にパンチ接種して病斑が発現してから(接種7日後)、温度勾配実験施設に移動して5段階の気温で処理する。接種20日後から7日毎に病斑の胞子形成能を調査する。
  2. N-3またはN-4葉では、病斑発現後の気温が低いほど、いずれの調査日でも病斑あたりの胞子形成数が多くなり、長期間高い胞子形成能を維持している(図1)。
  3. 病斑発現後の15度C以上の有効積算温度(x=Σ(T-15):Tは日平均気温)と胞子形成能(y)の間には高い相関が認められる(図2:コシヒカリ y=19719exp(-0.015x) r2=0.79)。
  4. 7月上旬に発現した葉いもち病斑は、冷害年の1993、2003年では、平年時に比べ長期間高い胞子形成能を維持していると推定される(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 胞子形成能は加藤ら(1974)の方法に準じておこなった。病斑水洗後、表面の水をキムワイプでふき取ったあと、28度C・15時間、湿室条件に保ち、病斑あたりの胞子形成数を血球計算盤で調査し、胞子形成能とした。
  2. 接種試験には品種コシヒカリを用いた。他の品種に適用できるかは未確認である。
  3. 接種(感染)後20日以前の胞子形成能を推定できるかどうかは未確認である。
図表1 232574-1.gif
図表2 232574-2.gif
図表3 232574-3.gif
カテゴリ いもち病 水稲 凍害 品種

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