北上山系の高標高地でもサイレージ用トウモロコシが生産できる

タイトル 北上山系の高標高地でもサイレージ用トウモロコシが生産できる
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2005~2006
研究担当者 出口新
魚住順
嶝野英子
河本英憲
島崎由美
東山雅一
近藤恒夫
発行年度 2006
要約 北上山系の900m程度の高標高地においても、極早生品種を5月中に播種することにより、細断型ロールベーラ向けトウモロコシを生産することができ、1500kg/10a程度の乾物収量が確保できる。
キーワード トウモロコシ、極早生品種、高標高地、細断型ロールベーラ、草地生産管理
背景・ねらい 細断型ロールベーラの登場により、サイロ施設から離れた圃場においてもワンマン作業でトウモロコシサイレージを生産することが可能となった。これに伴い、低利用のまま放置されている公共草地が、東北地域の新たなトウモロコシの生産基盤として注目されている。しかし、公共草地の多くは高標高地に存在しているため、これまでにトウモロコシの栽培実績がない。そこで本研究では、飼料基盤の拡大のために、北上山系の高標高地におけるトウモロコシ生産の可能性を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 北上山系の高標高地(採草地跡)においてサイレージ用トウモロコシを栽培する場合、極早生品種(LG3215:RM75)を5月下旬までに播種すれば、1500kg/10a程度の乾物収量が確保できる。また、同一の播種期であっても堆肥を併用することにより絹糸抽出が早まる(表1)。
  2. 播種期が遅くなるほど、収穫期の乾物率が低下する(図1)。細断型ロールベーラによる調製が可能な乾物率25%(畜産草地研究成果情報 No.4 P.183-184)を確保するには、堆肥施用の有無に関わらず、5月中に播種をする必要がある。生育期間の積算気温は1900℃が乾物率25%の目安となる(図2)。
  3. 以上のように、高標高地においても、極早生品種を5月中に播種をすることにより、細断型ロールベーラによる調製が可能な乾物率のトウモロコシを生産することができる。また、堆肥の施用は絹糸抽出を早めるなど、トウモロコシ生産の安定化に効果がある。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は岩手県早坂高原(標高916m)で実施した試験から得られたものであり、公共草地の土地資源活用技術として活用できる。本成果を参考に、隣接圃場(約3ha)でトウモロコシが栽培されている。
  2. 東北農業研究センターで開発した「東北地方1kmメッシュ気温データ表示・検索システム」(http://tohoku.dc.affrc.go.jp/trmain.html)から抽出したデータによると、早坂高原付近(標高912.8m、北緯39度50分30秒、東経141度30分)の2000年から2006年における年平均気温は6.1℃、生育期間(5/25~9/20)の単純積算気温は2001℃である。
図表1 232622-1.gif
図表2 232622-2.gif
図表3 232622-3.gif
カテゴリ とうもろこし トウモロコシサイレージ 播種 品種

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