タイトル |
四季成り性イチゴ「なつあかり」「デコルージュ」のランナー発生条件 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 |
2003~2006 |
研究担当者 |
濱野 惠
山崎浩道
今田成雄
|
発行年度 |
2006 |
要約 |
「なつあかり」「デコルージュ」のランナー発生に必要な低温遭遇時間は、発生時に16時間日長下で屋外での5℃以下では1000時間、-1.5℃の冷蔵処理ではそれぞれ60日間、30日間である。屋外で越冬後のランナー発生は「なつあかり」は発生時に日長が長い方が促進され「デコルージュ」は夏の自然日長では抑制される。
|
キーワード |
イチゴ、なつあかり、デコルージュ、ランナー発生、低温遭遇量、日長
|
背景・ねらい |
イチゴの増殖は主にランナーで行うが、四季成り性品種は一般にランナー発生が一季成り性品種に比べて少なく、四季成り性イチゴの新品種「なつあかり」「デコルージュ」でもそのことが今後普及する際に問題となると予想されている。この2品種のランナー発生に関わる条件について検討し、苗増殖の基礎的情報とする。
|
成果の内容・特徴 |
- 屋外で低温遭遇させたのち15℃以上の温室に搬入した場合ランナー発生に必要な5℃以下の遭遇時間は両品種とも発生時に16時間日長下で1000時間以上であり、低温遭遇時間が少ない場合には自然日長では発生が抑制される。一次ランナー発生数は2000時間までの範囲では低温遭遇時間が長いほど多くなる傾向がある(図1)。
- 温室で自然日長条件にあった苗を12月中旬から-1.5℃暗黒条件で冷蔵し、所定期間経過後温室で16時間日長下に置くと、「デコルージュ」では冷蔵30日間以上で、「なつあかり」では60日間以上でランナーが発生する。両品種とも90日間で一次ランナー発生数は最大となり、それより長く冷蔵しても増加しない(図2)。
- 屋外で越冬後、5月中旬から屋外で短日処理を行うと一次ランナー発生数は「なつあかり」では自然日長>12時間日長>10時間日長となる。「デコルージュ」では12時間=10時間日長>自然日長>8時間日長となり夏の自然日長条件ではランナー発生が抑制される(図3)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 本成果は東北農業研究センター(盛岡市下厨川)での日長・気象で得られたものであり、条件が異なる場所ではランナー発生に必要な低温遭遇時間が変わる可能性がある。
- 「なつあかり」「デコルージュ」のランナー発生に必要な5℃以下の低温量が確保できない地域・作型であっても株の冷蔵ができる施設があればランナーを発生させることができる。
- 休眠が浅い状態で冷蔵処理すると冷蔵中に株の消耗が起こり処理後の生長およびランナー発生が抑制されるおそれがある。
- ランナー発生時の温度条件に関しては未検討であるが、低温期に発生させる場合には十分な温度確保が必要と考えられる。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
カテゴリ |
いちご
新品種
品種
|