タイトル |
天蚕絹セリシン化粧水の製造法とその優良特性 |
担当機関 |
福島農総セ |
研究期間 |
2006~2007 |
研究担当者 |
瓜田章二
鈴木幸一(岩手大学)
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発行年度 |
2007 |
要約 |
従来から精製が難しく未利用であった天蚕絹タンパク質セリシンを抽出・精製する方法を見出し、このセリシンを配合すると、紫外線吸収や保湿性に優れ、さらにしっとりとした潤い感のある化粧水を調合することが出来る。
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キーワード |
天蚕・絹セリシン・化粧水
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背景・ねらい |
絹糸昆虫が産生する特に天蚕の繭層を構成するタンパク質の機能を解明し、その利用法を検討している。その中で、すでに家蚕では多くの研究がされているが、天蚕ではほとんどなされていない絹セリシンを抽出・精製する方法を見出し、そのセリシンの構造と機能性ついて検討して利用法を提示する。
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成果の内容・特徴 |
- 天蚕絹セリシン溶液は、天蚕繭層の50 倍の0.5%炭酸ソーダー溶液の98 ℃、2時間処理による精練溶液から得る(図1)。なお、得られるセリシン量は繭層量の22 ~ 25%である。
- この溶液を25 ℃で2日間以上放置(静置)して沈殿物を除いた溶液をセルロースチューブに充填して、20 ℃で流水透析を3日間、純粋透析を1日行って精製天蚕絹セリシンを得る(図1)。
- 本天蚕絹セリシンのアミノ酸組成の特徴として(家蚕絹セリシンに比べて)、より機能性のあるアスパラギン酸、グリシン、スレオニン、グルタミン酸、ヒスチジンが多い(図2)。
- この天蚕絹セリシンと水、エタノール、グリセリンを配合した化粧水は、絹フィブロイン配合化粧水より紫外線吸収領域は幅広く高く(図3)、保湿性も優れ、またよりしっとりとした潤い感の強いものとなる(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 粉末化したセリシンを加水分解等により生理活性を示す分子量に調製することが出来るので、サプリメント、化粧品、医薬品、医療素材への利用可能である。なお、現在、企業2社とオプション契約を締結し、製品化を進めている。
- 特産としての天蚕の需要が高まり、地域活性化につながる。
- 特許共同出願中(特願2007-024716)であるため、本技術を利用するためには福島県と岩手大学の許諾を得ることが必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
機能性
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