タイトル |
表計算ソフトエクセルを用いた土壌中水分移動計算用のソフトウェア |
担当機関 |
園芸栽培部 |
研究期間 |
2005~2007 |
研究担当者 |
龍野栄子
岩崎泰永
吉田千恵
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発行年度 |
2007 |
要約 |
本ソフトウェアでは、簡易な操作で土性や給液条件の違いが土壌中での水分分布に及ぼす影響について汎用表計算ソフト(マイクロソフトエクセル)上でシミュレートすることができ、その結果を視覚的に分かりやすく表示する。
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背景・ねらい |
作物栽培において養水分の利用効率を高めるためには、土壌理化学性にあわせた供給を行うことが必要である。土壌中における水分移動を予測することができれば適切な養水分管理を行う上で極めて重要な情報が得られる。そこで、既存の水分移動計算プログラムをもとに、土性や給液条件の違いが土壌中での水分分布に及ぼす影響をシミュレートすることができ、視覚的に理解しやすく、かつ容易に使えるソフトウェアを開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 本ソフトウェアでは、給液と給液停止(拡散)をくり返したときの土壌中の経時的な水分分布変化を表計算ソフトエクセル上でシミュレートすることが可能であり、次のような場合の水分分布変化の違いについて比較検討することができる(図1、2、3)。
- 土性の違い
- 土壌水分を一定の範囲にした場合の設定条件の違い
(給液開始時の土壌水分率、土壌水分含量の上限・下限値、基準となる位置など)
- 水分移動計算には1985 年にGaylon.S.Campbell が作成したBASIC プログラムを用いている。水分移動計算は、次の手順で行われる。
- 粒子径分布から透水係数を計算する。
- キャンベルの式K(θ)= K(θ/θ s)^(2b+3)により不飽和透水係数を推定する。
- 水分移動基礎方程式であるリチャーズ式を解く。
∂θ/∂ t =∂/∂x[K(θ)・∂Ψ/∂θ・∂θ/∂x] +∂/∂ z[K(θ)・∂Ψ/∂θ・∂θ/∂ z]+∂ K(θ)/∂ z (K:飽和透水係数、Ks:不飽和透水係数、θ:水分含量、θ s:不飽和時の水分
- 一般的に利用されているエクセルに付随するマクロ機能(VBA)を用いたインターフェースであり、多くの人が気軽にシミュレーションを行うことができる。入力項目は土壌条件について3点、水分含量設定値4点である(表1)。
- 土壌条件の入力方法は、次の2種類から選択できる(図1)。
- ユーザーフォームへのデータ(土壌乾燥密度、シルト・砂含量)の手動入力
- データベースシートに保存されているデータからの取込み入力
- 水分移動計算条件の入力後、「計算」ボタンをクリックすると、一連の計算及び結果の視覚化、データの保存までを自動で行う(図2)。
- 画像の連続表示を行うことができ、推定される水分分布の変化が視覚的に分かる(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 均質な土壌における水分分布を示す。
- レキ等による粗孔隙を通っての水分移動は考慮していない。
- 図3における節点数は深さ方向20点、横方向40点であるが、変更も可能である。
- 作成に用いたエクセルのバージョンはMicrosoft Office Excel 2003 である。
- 配布方法 CD 等
- ファイルサイズは、約10MB である。(計算用ファイルと保存用ファイルに分かれている。保存用ファイルはデータ保存時約2 MB)。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
乾燥
くり
データベース
ぶどう
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