東北地域向けの紫穂観賞用水稲新品種候補系統「奥羽観379号」

タイトル 東北地域向けの紫穂観賞用水稲新品種候補系統「奥羽観379号」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 1998~2007
研究担当者 山口誠之
片岡知守
遠藤貴司
中込弘二
滝田正
東正昭
横上晴郁
加藤浩
田村泰
発行年度 2007
要約 水稲「奥羽観379号」は、東北地域に適する晩生の紫穂系統である。穂に紫褐色の長い芒を有し穎花も紫色を呈するため、穂揃い期には穂全体が紫色に見える。短稈で倒伏に強く、栽培しやすい。観賞用として、切り花等に利用できる。
キーワード イネ、紫穂、観賞用、東北地域
背景・ねらい 現在、米は生産過剰傾向にあり転作が求められているが、水田の新たな有効利用法の一つとして景観作物としての観賞用稲を作付けする動きが高まっている。いくつかの赤穂や紫穂の在来品種、赤米の育成品種が観賞用に利用され、2002年には芒がピンク色の観賞用品種「西海観246号」が育成された。在来品種を含めたこれらの品種は東北地域では晩生のものが多いため、東北地域で栽培可能な熟期の早い観賞用品種が求められていた。2005年に東北地域北部以南に適する、葉に白縦縞が入り穂が紫色の観賞用品種「奥羽観383号」が育成された。しかし、利用者からは切り花として販売したり、景観用として利用したりするには1品種だけでは種類が少なく、色や形が異なる複数の観賞用品種を利用したいという要望が高まっていた。そこで、東北地域向けの新たな観賞用品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 「奥羽観379号」は、紫穂の系統「紫穂No.1」と赤米の在来品種「対馬在来」を1996年に交配し、その後選抜固定を図ってきた紫穂水稲ウルチ系統である。
  2. 出穂期と成熟期は、育成地では“晩生の早”に属する。短稈で倒伏に強いため、一般品種と同様に機械化体系での栽培が可能である(表1)。
  3. 穂に紫色の長い芒を有し穎花も紫色になるため、穂揃い期には穂全体が紫色に見える。葉は緑色で、紫穂とのコントラストが美しい(写真)。成熟期には芒および籾の紫色は若干あせてくるが(表2)、紫色は残っており十分観賞可能である。
  4. 耐冷性は“弱”、穂発芽性は“難”、いもち耐病性は葉いもち、穂いもちともに“中”で縞葉枯病には“罹病性”である(表1)。
  5. 精玄米重は「ひとめぼれ」の71%と低収で、玄米品質は“下上”、炊飯米の食味は“下上”で、「ひとめぼれ」より劣る(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 水田の景観作物、切り花、ドライフラワー、ワラ細工等に利用できる。東北地域をはじめ、各地の生産者、民間企業から強い要望があり、10ha程度の利用が見込まれている。
  2. 小中学校の教材としても利用でき、観賞用稲を通して農業への関心を高めることが期待できる。
  3. 白縞葉・紫穂の「奥羽観383号」、赤穂の「奥羽観378号」と組み合わせることで、色や形のバリエーションが増え、利用価値が高まる。
  4. 障害型耐冷性、いもち耐病性が不十分なため、栽培地域の選定に注意し、適正施肥、適期防除に努める。
図表1 232759-1.jpg
図表2 232759-2.gif
図表3 232759-3.gif
カテゴリ 病害虫 機械化体系 縞葉枯病 新品種 水田 水稲 施肥 品種 防除 良食味

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