タイトル |
農薬削減リンゴに対する消費者の支払意思額は農薬削減率に準じて増加する |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 |
2005~2007 |
研究担当者 |
下山禎
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発行年度 |
2007 |
要約 |
消費者に農薬削減リンゴと認証制度について情報提供し、それらの意味について十分に理 解した消費者は、農薬削減リンゴへの支払い意思額が農薬削減率に準じて増加する傾向にあり、また認証制度については公的機関(政府関係機関)の認証マークを重視する傾向にある。
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キーワード |
農薬削減リンゴ、認証制度、農薬削減率、支払意思額
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背景・ねらい |
消費者の農薬削減リンゴに対する知見は乏しい反面、食の安全性への関心は高く、農薬・化学肥料の使用実態が産地によって異なる既存の認証制度に対する不満も小さくない。そのため、特別栽培として販売されることの多い農薬削減リンゴに対する評価も僅少なものに止まっていると考えられる。そこで、既往の調査結果から農薬削減リンゴについて十分な情報を提供し、新たに透明性の高い認証制度を設けた場合の農薬削減リンゴに対する消費者の支払意思額は、農薬削減率に伴って増加するという仮説のもとに、農薬削減リンゴに対する消費者の支払意思額を計測する。
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成果の内容・特徴 |
- 消費者が考える農薬削減リンゴの支払意思額は、普通栽培リンゴ1個100円の時、通常のアンケート調査では120円、農薬削減リンゴについて詳しい栽培体系を説明したセミナー受講後では145円、本研究で用いた論理操作(図1)を施したWebアンケートでは161円となり、それぞれの調査対象は異なるが、正確な情報の提供による理解度の深化が消費者の支払意思額に影響を及ぼす。
- Webアンケート結果に基づくコンジョイント分析の結果(プロファイルは表1)、農薬削減リンゴに対する支払意思額(普通栽培リンゴ1個100円の時の割増額)は、「農薬削減率」が75%で45.6円、50%で30.4円と大きく、「農薬削減率」の水準が高まるほど支払意思額は増加する(表2)。
- 支払意思額は認証マークの有無によっても異なり、「認証マーク無し」0円、「準公的機関による認証マーク」19.2円、「公的機関による認証マーク」30.9円の順に高く、認証への信頼度の影響が大きい(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 通常のアンケートとは説明文を付したWebアンケート(平成18年、1000名)、セミナー受講後のアンケートとは東北農研のモニター56名による会場調査(平成17年)。
- 環境負荷低減情報の支払意思額(-8.3)は産地・生産者名情報、栽培履歴情報との相対的評価であり、消費者の絶対評価を示すものではない。また、栽培履歴情報に産地。生産者名情報は含まないものと想定している。
- 現行のJAS法では農薬削減率の表示は認められていないので注意を要するが、農薬削減リンゴの新たな認証制度創設もしくはマーケティングのための参考データとして活用できる。
- 生産者や流通関係者の農薬削減リンゴに対する販売戦略の参考データとして活用できる。
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図表1 |
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カテゴリ |
肥料
病害虫
環境負荷低減
栽培体系
農薬
りんご
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